なんか僕には弟子がいるんですが…
気がついたら「カス」を自称するようになってしまいました。
元々自称してたのかよくわかりません。
まあ僕にとってはどちらでもいいことです。
【弟子をとった経緯と理由についてはこちら→ 美容師の弟子をとりました。辞めたアシスタントも希望を持てるような世の中にしたい!】
モエカス(本名萌夏)が弟子になって早2ヶ月。
もうすぐフリーランススタイリストとしてデビューの予定です。
最初はウィッグで練習をはじめ…

最初はウィッグで練習。
すぐカットモデルに。

カットモデル。スマブラやってます。
モデルの練習をした感想などはラインに記録として残しました。
というか強制的に残させました。
途中モデルを何日間か連続で連れてこなくて僕に『ぶっ殺すぞ』と怒られたり、ノートまとめるのサボって『やる気ないならヤメちまえ』とドヤされたりいろいろ大変だったと思いますが、なんだかんだもうすぐ50人。
6月からフリーランス美容師としてスタイリストになる予定です。
フリーランスとしてやっていく計画もいろいろとあり、うまいことやってくれるんじゃないかと思います。
それはそれでいいんですが、なんかせっかく師匠と呼んでくれるので最後に【僕っぽいこと】を教えようと思って、先日あるお勉強会をしてきました。
美容師だからこそ外へ出ろ!
つい数日前のこと…
ラインにて。
ピクニックに誘いました。
午後3時くらいから吉祥寺の井の頭公園へ向かい、昼飲みです。
最近ブログを始めたらしいので、ブログとかSNSとかについて、塩辛食べながら昼飲み個人セミナーです。
日が暮れる頃、高円寺に向かうことに。
酔っ払ってるのかなんのかわからないですが、とりあえず変なメタルのチューブ(シャワーのあれ)みたいなやつがあったので首に巻きつけときました。
弟子をイジる。
ネックレス
そのうちボルトをしめるあの工具で誰かと電話し始めたので、もうシカトしました。
この日僕らが高円寺に向かった理由は…
路上ライブペイントをするためでした。
紙とペンを用意させ、ダンボールにて看板を作り、道行く人の似顔絵を描かかせました。
恥ずかしがってたのですが、容赦なく弟子を大衆の前で辱めるという。

僕も似顔絵書いてもらった。誰だコイツww
そう、僕といえば路上カット、路上カットといえば僕です。
だからやらせました。
世界でやってこいとまでは言いませんが、とりあえず高円寺駅前ロータリーで。
恥ずかしい…とか言ってたけど『うるせー』って言って強制的にやらせました。
なぜか?
決してオフザケのつもりではありません。
それが人との出会いにつながり、美容師の仕事に活きるはずだからです。
美容師は人と人との仕事です。
値段で選んでもらう美容室が多い現代で、『モエカスに切ってもらいたいんです』と言って選んでくれるお客様を作ることは本当に本当に大変なこと。
モエカスが以前働いてた大きな美容室だって新規のお客様はクーポンで呼んでいます。
やりたくたって、なかなかできることじゃないんです。
だからこそ苦労をする必要があります。
外に出て、自分の存在をアピールして、人に好きになってもらう必要があります。
モエカスはカスだけど絵は上手です。
美容師は外で髪を切ることはできないけど(日本では)絵を描くことならできます。
恥ずかしくてもなんでも、自ら表に出ることで知ってくれる人が必ずいます。
応援してくれる人に絶対に出会えます。
だからとりあえず、やってみろよ…と。
そんな人たちを笑顔にしてみろよ…と。
それが僕流であり、僕の生き方です。
自分の仕事の価値を知る
モエカスは将来は美容師やりながらガチの絵かきにもなりたいのだそうです。
『どっちも本気でやりたい!』
その心意気が良いなと思いましたし、そして弟子にした1番の理由です。
路上で絵を描くこと…それがきっかけで美容室に来てくれると聞いてもなんだそりゃと思うでしょうが、それでプラスになる大切なものが実はもう一つあります。
【価値を売る】ということがどういう事なのかを知ることができます。
絵描きも美容師も、価値を売る仕事です。
ただ描くことなら誰にでもできる。
でもその対価をもらうことは誰にでもできることではない。
『絵を描くのは好きだけど、売ったことがないのです』
そういう絵描きはプロじゃありません。
将来それで食っていきたいですなんて言ったって、いつまでたっても誰も評価してくれません。
だから、とにかく自分でやれ…と背中を押しました。
1円でも10円でも貰えたときに、本当のお金の大切さやクライアントの大切さを知ることができます。
コーヒーでもオニギリでも、対価を貰えたときに『仕事とは何か』を知ることができます。
そしてそれを知ったときに、人は始めてプロと名乗ることができ、成長し始めるのだと思います。
それを知るのはできるだけ早い方がいい。
独立?アトリエ?お金?
そんなモノは必要ない。
ペンと紙があればいいんだから、カッコわるくていいから地べた座って今自分のやれる事をやればいい。
きっとそれでもたくさんの経験ができて、素晴らしい気付きがあるはずなんです。
そしてそんな自分を認めてくれる人もたくさんいると僕は思うんです。
カスでもいいからとにかく遊べ!
3月頭、死んだ魚のような目をして僕の店にやってきたモエカス。
いろいろ悩んでました。
お金のこと、将来のこと。
働いてたサロンでは望んでも叶わない部分があり、辞める事を決意したそうです。
彼女の夢や現状を聞き、いろいろと思うことがありました。
そして「何か力になれないか?」と弟子にすることにしました。
僕の弟子になるということを知った以前の会社の人たちは、辞めるタイミングで彼女にボロクソ言ったそうです。
『甘ったれるな』『美容師をちゃんとやれ』『フリーランスなんてどーのこーの』『うちみたいないい会社辞めてどーのこーの』
僕はそれを聞いて非常に残念な気持ちになりました。
これから時代は恐ろしいスピードで変わっていきます。
美容師がハサミだけで食ってけない時代がもうすぐそこまで来てるのです。
事実、多くの美容室では売上が下がり、商品が売れなくなっています。
そしてヘアカットロボットが登場すれば美容師は美容師でなくなる可能性だってあります。
スマホができて消えた職業があるように、美容だってロボットが代わりにやってくれる時代がこれからやってくるわけです。
その変化を無視し続けてることのほうが甘ったれていると思うし、自己肯定ばかりで他を批判して見向きもしないのは残念なことだと僕は思います。
これから生き残っていくのは自分の長所を伸ばして仕事にできる人たちです。
一生打ち込めるようなモノが人には必ずあります。
好きで好きで仕方ない…!
心の中にあるそんなオタクな部分に全力で向き合える人だけがロボットに太刀打ちできるようになる時代がやってきます。
必ずです。
僕で言えば旅とか文章とか美容。
モエカスで言えば絵と美容です。
趣味とか遊びとかでも言い方はなんでもいいから、とにかく楽しい事に時間とお金を突っ込んで、やり続ける。
そうすればいつかそれが仕事になるし、ロボットにも負けない武器になるはずです。
好きな美容師にその『遊び』を掛け合わせることができたら、もうどこの世界に行っても、ペンを握っても、ハサミを握っても、生きていくことができます。
夜の駅前のロータリーで、誰がツバはいたかもわからないような道端に座って、自分の好きな事をやって、出会った人に価値をつけてもらう。
はたから見たらそりゃあもうただのカスです。
でももうモエカスはプロのアーティストとして歩き出したんです。
そんな汚いことショボいことやりたくないと、売らない絵を描き続ける人よりは間違いなく進んでいます。
といっても美容師としても、アーティストとしてもまだまだです。
だけど、ずっとずっとやり続けるでしょう。
本気で好きなんだから、ヤメたいなんて思わないはずです。
今日1円で売れた絵を、明日からも毎日毎日描く。
そしたらそれが1年後には100円になってるだろうし、5年後には1万円になってます。
そして自信となり、仕事と呼べるようになるのです。
だから『仕事になるまで本気で遊ぶ!』ということは本当に大切なこと。
僕は美容の技術以外ではそんなことしか教えられません。
それでも自信があるから、自信を持って言えます。
きっとモエカスは幸せに生きるでしょう。
【絵を売ることは幸せを売ること】
長くなりましたが、ここまで記事を読んでくれたすべての方に最後に読んでほしい記事があります。
これを見てるかわからないけど、特にモエカスの元同僚に読んでもらいたいです。
モエカスの以前の会社は僕も働いてたので悪く言うつもりはありませんが、皆さんがボロカスにこき下ろしてくれた大見萌夏は今とても楽しそうに美容師をして、絵を描いて、いろいろな人に出会って生きています。
落ち込んでないし、腐ってないし、死んだ魚の目をしてるわけでもありません。
元同僚として彼女の幸せを願うのであれば、批判するより応援してあげてほしいと思います。
僕に強制的に路上で絵を描かされたカス美容師の感想文→→ 【絵を売ることは幸せを売ること】美容師が路上で、通行人に似顔絵を描いてみた
6月からフリーランス美容師として生きていくので、ぜひ応援してあげてください。
そして、もう一つ彼女は【髪アート】というものをやっています。
僕の結婚式の後にも店に行ったらこのような絵が…
正直すごいです。
時間をかけて作るそうです。
もしあなたがインスタグラムアカウントをお持ちで、何か少しでも『すごいね』と思ったらフォローして応援してあげてください。
僕もまあまあ数奇な運命というか、変な人生を歩んでいますが、彼女もまた変な人生をこれから歩んでいくのだと思います。
いつか数年後、かつてのモエカスみたいにクソみたいな顔して泣きながら生きてる人がいたらきっと彼女は手を差し出すと思います。
そうして幸せの連鎖が続いていけばいいなと思います。
好きな事を全力で。
遊ぶように生きて、それで仕事ができて、好きな人と過ごせて、楽しかったらそれでいい。
そんな人生でいいじゃない。
わたしは美容も絵もどっちも好きだから
どっちもやる それでいい
「好き」だからやる
「やりたい」からやる
それでいい
やらなくても死なないけど
やっても死なないんだから
なんでもできるしいくらでも可能な時代に産まれたんだから
やらないだけ損だと思う本当に
死んでるように生きるより
生きてるように死にたい
【絵を売ることは幸せを売ること】美容師が路上で、通行人に似顔絵を描いてみた より