先日書いた記事内で大食いの嫁キャンベルが「鳥の丸焼きを食べる」と豪語しているみたいなことを書いたが、それが見事実現したのでレポートしてきた。
でもそれだけでは終わらない。
これから書くことはすべて紛れもない事実。
まずはこちらを読んでほしい。
大食いの嫁が鳥の丸焼きを求めて
昨日はたくさんの人をカットして、疲れ果てて夕方ホテルに戻った。
「お腹空いたね」
キャンベルがなんか言っている。
四六時中言っているから特に反応はしなかったような気がする。
でも僕もお腹が空いていたからご飯を食べにいくことにした。
滞在していたホテルはCOLONという通りの近くで、ちょい治安が悪いエリアらしく確かにカオスな雰囲気は漂ってるものの、貴重品も別に持ってないし、へっちゃらでさまよい始めた。
夜8時をすでにまわっていて、1本通りをそれるともう真っ暗。
子供が昼間のように走り回ってる光景は異国感を感じずにはいられない。
今夜の目的は決まってた。
それは“丸焼きチキン”だった。
フィリピンの町中で普通に売っている丸焼きは180〜250ペソほどで食べられる。
日本円に換算すると4〜500円といったところ。
それを「食べる」とずっと言い続けてたのが他でもないキャンベルだった。
シラネーヨと思ってシカトしていたが、ブログネタとしてはおもろいかなと思い僕も一緒に探し始めた。
すでに店は閉まりつつあり、なかなか見つからずカオスなエリアを探し回る。
観光客とか1人も見ないくらいドローカルだ。
20分ほど放浪してやっと発見できた。
踊らされるようにチキン達がクルクルと回っている。
そこにシレっと並ぶ。
夜遅いためか防犯のためか柵がしまっていた。
中で座って食べる事ができないのが誤算だった。
前の客はカットしてもらってたが、それだとなんだかわからなくなるので「No cut」とおばちゃんに伝える。
僕らは丸焼きを食べられる場所を探し始めた。
基本的にはフィリピンでは食堂などに持ち込みするのはOKのようだった。
フィリピン人もマイライスを持参してよく食べてるのをみる。
でも中々ここだという所に巡り合わず、結局居酒屋セブンイレブンに行くことにした。
セブンイレブンとはまさにあのセブンイレブンだが、フィリピンではなぜか2階や外のスペースでお酒を飲むことができる。
若者もおっさんも、セブンイレブンで購入した商品をつまみにそこで飲んでる事を知っていた僕は勝手に居酒屋セブンイレブンと呼んでいた。
大食いが丸焼きに挑戦
おもむろに丸焼きを広げた。
圧倒的な存在感はハッキリ言ってセブンイレブンでは浮いている。
隣のフィリピン人も笑ってた。
大食いキャンベルの丸焼きへの挑戦が静かにはじまった。
キャンベルが黙々と食べ始めたので、僕は自分の夕飯を。
今夜は29ペソのコンビニでチンするご飯と、小さな15ペソの露天のチキンを購入。
200ペソの丸焼きに比べたらだいぶ質素だ。
食べていると、キャンベルが信じられないことを言ってきた。
「一口ちょうだい」
一羽まるまる食べているまさにそのときにどうして人のチキンに目移りするのだろうか。
僕には理解できない。
渋々渡したらガッツリ食われてしまった。
イジメレベルでかじられてしまい、僕のチキンは見るも無惨に。
さらに驚いたのが、今度は「ごはんちょうだい」と言いつつ僕のご飯を食べだしたではないか。
なんだお前はアレか、剛田たけしか。
ジャイアンなのか。
「お前のものは俺のもの」
そんな声が聞こえた気がした。
ジャイアンはそんな僕には目もくれず丸焼きをモリモリ食べつづけた。
さらにはフィリピンで有名なビールレッドホースをモリモリ飲んで…
丸焼きをモリモリ食べて……!!
モリモリ飲んで……!!
モリモリ食う……!!!!!
「味付けに飽きた」
ジャイアンが突然そんな事を言い出した。
チキンは照り焼きっぽい感じで、別でポン酢みたいなのもついていたけどそのどちらの味にも飽きたらしい。
なんか味が変わりそうなもの買ってきてとか言うから、1階のセブンイレブンに降りてソーセージを買ってみることにした。
ケチャップをもらう作戦だ。
僕もご飯をとられて物足りないところだったのでちょうどよかった。
これでプラマイゼロだ。
見事ケチャップと甘ったるいマヨネーズを手に入れて2階にもどった。
フィリピン人に混じり黙々と丸焼きを食べてる後ろ姿がすごくたくましかった。
酔いつぶれてる奴やカップルなんなよりもそっちに目がいく。
これが“背中で語る”というやつなんだと初めて知った。
背中で語るのはお父さんがやるものだと思ってたが、必ずしもそうではないらしい。
「何買ってきたの?」
「ソーセージ」
「ちょうだい」
「ふぁっ!?」
「ちょうだい」
席に戻るやいなや、僕のチキン、ご飯に続いてソーセージまで食べられた。
もちろん全部ではないけど、3分の2はいかれた。
僕はまるでのび太だ。
野比のび太だ。
ドラえもんがいたらタイムふろしきで戻してもらえたのに。
泣きつく相手もいないから「なんだよ…」と思いつつ見守っているとあっという間に最後の3カケラになり、それらもチュパチュパして完食。
あっけなさ過ぎてビックリした。
確かに超巨大かというとそんなことはないサイズだったが、まあまあ量はあった。
ふー食った食ったとか一切なかった。
次の瞬間、口を開いたと思えば「ご飯食べたい」とか言い出した。
今食べたものはなんなのかと。
問い詰めたい。
小一時間問い詰めたい。
ジャイアンは1階に何かを買いに行った。
29ペソのさっき僕が食べてたチンするご飯を買ってきてめっちゃ食べ始めた。
マジかよと普通の人なら思うだろうが、さすがにこのくらいではもう驚かなくなった。
さり気なくビールももう1本買ってそれも飲んでた。
バク食女王は健在だった。
居酒屋セブンイレブンをハシゴ
とりあえず一通り食べ終わったから居酒屋セブンイレブンを出ることにした。
「シメにアイス食べたい」とか言って帰り際にレジに並んでるところを見てももうツッコむことさえしなくなった。
僕もすでに少しおかしくなってるのだろう。
「シメ」と言っていたから流石にお腹いっぱいになったようだった。
だがまだ時間が早くてホテルに帰っても暇だからホテル前の居酒屋セブンイレブンにハシゴすることにした。
一体リゾートと名高いセブ島に来て、ローカルの人々に混じって何をやっているのだろうか。
冷静になってブログにこうして書いてるとそう思うが、その時はそれが最善の策に思えたのだから仕方がない。
そこでウイスキーとラム(サトウキビの酒)氷を購入。
僕は1軒目で食べたチキンとご飯とソーセージ、そしてビールでお腹いっぱいでロックでチビチビと飲む作戦だ。
ジャイアンはというと…
さらにスプライトとお菓子を購入。
“シメ”とは一体どういう意味なのか、今一度考え直したが僕が間違っているわけでないと思う。
シメとは終わりを意味する言葉だ。
ジャイアンにとってのシメは始まりということなのだろうか。
はたまたビックバンか何かなのだろうか。
深すぎて僕にはついていけない。
ため息混じりにふと目線を左にやるとそこには信じられないくらい白くてフワフワしたものが置いてあった。
NIKUMANだ。
まばたきをして、目線を正面に戻した。
ジャイアンはなぜかドヤ顔でお菓子を食っていた。
次の瞬間にはNIKUMANかぶりついていた。
その間わずかに0.1秒。
しばらくいろんな話をしていて時刻も11時をまわった頃「ジュース買ってくる」と言って突然席を立った。
戻ってきたその手にはフィリピン風えびせんが。
疲れるからもういちいちツッコむことをやめ、僕はただひたすら水とウイスキーを飲んでた。
ちなみに言うまでもないが、さっきのアイスもお菓子も肉まんもえびせんも僕は一口も食べてない。
すべてジャイアンの宇宙の胃袋に吸い込まれていった。
そうこうしているうちに時計を見るともう深夜12時になろうとしていた。
普通であればそろそろ帰るかな…という話になるところだが、僕も酔っ払いのポンコツになりつつあり、なんだかお腹が空いてきた気がした。
酔っ払いあるあるネタで、なぜか酒を飲むと深夜にお腹が空くのだ。
うっかりラーメンなんか食べた翌日には激しく後悔することとなる。
幸いまだそこまでベロベロではなかったので、僕はスープを飲むことに決めた。
それなら明日胃がもたれることもない。
「温かいスープ飲みたい」
そう言うと…
「ワタシあれ食べたい」
ジャイアンが指差した先にはフィリピンによくいる黒髪ロングの女性がハフハフ食べているハンバーグ弁当があった。
マジか。
最近ジャイアンの中でのトレンドは深夜メシらしく毎日のように夜中にご飯を食べているのだが、それでも8時に一食、12時に一食とかそういうレベルだった。
今回は丸焼きスタートで、しかも食べ始めたのが9時だったことを考えるとハイペースと言わざるを得ない。
いやペースもクソもないんだが。
僕→スープ
事→ハンバーグ弁当
という事だったので、僕がトイレついでに買い出しに行った。
僕は辛いものが好きだから辛いスープを探したのだが、韓国風のカップラーメンしかない。
とりあえずカップラーメンと、ハンバーグ弁当っぽい黒い容器のものを買った。
フタを開けてみたらまさかのステーキ弁当だった。
ジャイアンはハンバーグじゃないとかなんとかブツブツ文句言いながらも普通に食べてた。
ちなみに僕はスープが飲みたいだけだったから、カップラーメンのスープを三口くらいだけもらってあとは全部差し上げた。
ジャイアンも酔っ払っているとはいえ流石に食いすぎじゃないかと思ったけど僕も酔っ払ってたのであまり気にしなかった。
時刻はもう1時だ。
流石に眠たいので帰ろうかということになったのだが、ジャイアンはなぜかコンビニへとまた吸い込まれていった。
トイレかな?ホテルで行けばいいのに…
とめんどくさそうに外で待っていると…
まさかのアイスを持って出てきた。
ステーキ弁当とカップラーメンはシメではなかったのだ。
「なんかチョコチップとかついてるー」とウキウキしていたが僕は「これはデジャブ…!!」とドキドキしていた。
シメは始まり…
第二のビックバンが起こるのか…
だけどジャイアンは僕の予想を裏切り、おとなしく食べておとなしくホテルに戻って寝た。
でもよく考えたら全然おとなしくない。
丸焼き、僕のチキン、僕の弁当、僕のソーセージからの弁当、アイス、お菓子二袋、肉まん、ステーキ弁当、カップラーメン、アイス、ビール、ラム(サトウキビのお酒)…
半端じゃない。
今これを書いてて冷静に考えると深夜1時にステーキ弁当とカップラーメン完食とか男子高校生でもなかなかやらない。
流石に凄まじすぎる。
一体いくら使ったのだ。
そろそろ真剣にクラウドファンディングで嫁の食費を集めないと僕はやっていけないかもしれない。
なんなら銀行口座をブログで晒して寄付金を募ってしまおうかとも思うレベルだ。
丸焼き食べて終わりのはずが、本当に凄まじすぎる結末に終わった。
僕も疲れと酔いで部屋に戻るなりすぐにベッドに倒れ込んだ。
まるで全てが夢だったかのように眠った。
翌朝8時…
ふと目が覚めて僕は激しく後悔した。
見事に二日酔いだったからだ。
隣を見るとジャイアンもちょうど起きたところだった。
僕は一度起きたもののまだ眠くてベッドで横になりウトウトしていた。
意識が朦朧としている中かすかに、でも確かにこんな声が聞こえた。
「お腹空いたからなんか食べてくるけど行く?」
僕は1人眠りに落ちた。