日本一周しながら出会った1000人と握手する旅を6年前にした話。

【世界を旅して髪を切った人】なんとなく人は僕のことをそう思ってるのかもしれない。

それがきっかけでブログを始めたから、ブログで知ってくれた方からしたらまあそうなるのは当たり前。

日本に帰ってきてもう一年がたち、美容室Up to Youを介してたくさんの人との出会いがあったが、その人たちも同じように思っているだろう。

だけど、僕にも僕の歴史みたいなものがある。

世界を旅する前の事を知る人は実はあまりいないのかもしれないなー。

ふとそんな事を思って、今日はちょっとした昔話をしてみることにする。

写真は大昔の画像を引っ張ってきたから荒いっす…

ある日訪れた人生の転機

あれは2010年のこと。

僕は勤めていた美容室を辞めた。

田舎から出てきた僕の唯一の夢が『原宿とか青山で活躍する』みたいなもので、それだけが美容師としてのモチベーションだった当時、青山から神奈川の相模原にできる新店舗に転勤になったのが原因だった。

我慢して数ヶ月働いてみたけどやっぱり全然楽しくなくて、だけどやめると思いつつも言い出せずに結局毎日1時間半かけて出勤していた。

11月末、シフトのミスでたまたまできた3連休を使い東北に一人旅に行ってみた。

気分を変えようと思ったからだった。

福島、山形、仙台と旅をし、いろんなところを巡り、いろんな人に出会った。

2日目の夜、一人で飲んで仙台の駅前を歩いているとギターを弾いているお兄さんに偶然出くわした。

名をタカシさんと言う。

見るとなんか【東京から日本一周】とか書いてあるじゃないか…

なんだこの人は、と思いコンビニで酒を買ってきて飲みながらずっと歌を聞いていたら今度は変な酔っぱらいオヤジがやってきて絡まれた。

二階堂ジョージさんだ。

結局夜中まで3人で路上で飲みながら歌を聞いたり話をしたりしてたんだけど、今思うと11月末の寒い中欲かそんなことやってたな、と(笑)

そのジョージさんの家にタカシさんと2人一緒に泊めてもらうことになった。

タカシさんとジョージさん

家につき、こたつでまた焼酎を飲み直す。

酔っ払った僕は2人に仕事をやめるか悩んでる…ということを相談したらすぐ返事が返ってきた。

『そんなもん辞めちまえ』『もう決まってんだろ?』

ああ、そうか。

そうだよな。

何を悩んでいたんだろうと急に吹っ切れた。

数時間前に出会ったオッサンと旅人の一言で辞める決心をしたのだ。

そして2010年12/20、僕は仕事をやめた。

その日に同期に送別会をしてもらい、朝まで飲んだくれて、そのまま始発で東京を飛び出してしまった。

辞めた次の日に、日本一周の旅に出たのだ。

日本一周をしながら出会った人と握手をするという奇行に

朝5時前に吉祥寺駅を出発し、品川駅へ。

そこから東海道本線に乗り西へ向かい、昼にはレンタルママチャリで琵琶湖周辺を爆走していた。

琵琶湖近江高島白髭神社

琵琶湖、近江高島にある白髭神社

持ち物はバックパック、寝袋、服、そして青春18きっぷ。

青春18切符11500円

JRの格安乗り放題切符の事だ。

それだけ持って飛び出したものの、特に行き先が決まってるわけではなかった。

とりあえず時間ができたからどっか行きたかった

なんかそんな感じだった。

歴史が好きだったので様々な神社や寺を見るのも、知らない街をブラつくのも、ご当地グルメを食うのも、本当に全てが興味の対象だった。

だから行けるのであればどこでも良かったのかもしれない。

広島県の宮島なう

広島県の宮島なう

その旅の中で一つだけ決めていたこと。

それが出会った人と握手していくという事だった。

ルールとかも特になく、ただそれだけ。

なんでそんなことをしたのかと言うと、完全にタカシさんの影響だった。

日本一周の旅をしている人なんて会ったこともなかったし、考えたこともなかった。

だからこそ僕もやりたくなった。

そしてタカシさんと僕がナゼ出会っていたかというと、タカシさんがギターを弾いてくれていたからだった。

あちらが何かしてくれていたから、話しかけることができ、仲良くなることができたわけだ。

タカシさんと出会わなかったら僕は仕事辞めれずにずっとウジウジ腐ってたかもしれない。

僕も旅するなら…僕も誰かに出会いたい。

僕もなんかしよう。

ただそれだけだった。

その中で僕が思いついたのはフリー握手。

意味はない。

でもスキルもいらないし金もかからない。

いつでも、どこでも、誰でもできる事だと思ったからだった。

『握手してください。出会った人と握手をしながら日本を旅してます』と書いた看板と、その人数をひたすらカウントする100均の黒板を持って駅前や街角に立った。

寒いけどひたすら立ってた。

最初は気まずかったけど、とにかく待った。

すると人は面白いようによってきた。

『なにやってんの?』

『テレビ?』


『何でこんなことしてるの?』

日本人は、日本人の事を他人に興味がないとか言うけれども、世の中そんな人ばかりではない。

いろんな人がいることを知った。

もちろんさめた目で見ていく人もたくさんいた。

だけど冷えた手をスリスリ温めてくれたおばあちゃんや、ホッカイロやお茶をくれた女の子。

これで何か食ってくれと500円をくれたヤンキー風のにいちゃん。

道行く人からたくさんものを頂いたクリスマス。

道行く人からたくさんものを頂いたクリスマス。

クラブに連れてってくれたおっちゃん。

親不孝通りのクラブ

博多のおいちゃん。親不孝通りのクラブに。

泊めてくれた大学生。

京都に住んでた大学生

京都に住んでた大学生。今はどこで社会人やってるんだろう。

いろんな人に助けられた。

金がないから野宿したり満喫で寝たりマックで寝たり…

まあまあむちゃくちゃやってて疲れてたけど、毎日が最強に楽しくて最高に充実してた。

美容室辞めて本当に良かったと心から思った。

半泣きになりながら出勤してツマンナイツマンナイと思いながら働いて…

今思えば他のやる気があるスタッフには申し訳ないことしたなと思うけど、その時はそんなこと考えられる余裕がなかった。

あの腐ってた毎日が嘘のようだったし、遠く昔のことのように思えた。

旅をしてこんなにもたくさんの景色を見れて…たくさんの人に出会えて。

何より自分の気持ちがここまで変わるなんて…

幸せだ。

ちょー幸せだ。

真冬の街角に突っ立って、心からそう思った。

その後年を越してから東北へ行き、本気の北の冬を知った。

寒かった。

秋田の雪でコーティングされてる電車

秋田の雪でコーティングされてる電車

山形の無人駅で電車の乗り換え

山形の無人駅で電車の乗り換えの時に雪の積もるホームで…

6県を周り、あまりの寒さに再び南下。

ヒッチハイクで四国を目指した。

始めて降り立ったのは愛媛県だった。

僕はこの旅のあとに最終的に47都道府県を周ったのだけれども、この愛媛県ほど良かったと思う場所はないかも知れない。

都会あり、田舎あり、山も川も海も温泉もある。

災害は少ないし、暖かい。

そして人が優しい。

本当に素晴らしいところだった。

その後、高知へ行ったんだけれども、高知も本当に好きになった街だった。

四国にはお遍路というものがあり、昔から旅人が集まる文化がある。

杖をつき、四国に散らばっている寺を一つ一つ参拝していくのだが、それはある種の修行のようなものかもしれない。

四国に生きる人は本能的に『お遍路さんを接待する』という気持ちがあるように思えた。

つまり旅人に優しいのだ。

『ちゃんと食べてる?』

『寝るとこはあるの?』

『うちで寝たらええ』

でかいリュックを背負ってるだけで声をかけられた。

本当に不思議なところだった。

松山道後温泉

松山道後温泉

そんな旅で結局1000人以上の人と握手をして帰ってきた。

1000人目は高知の帯屋町

1000人目は高知の帯屋町で

今思うと世界を旅して1000人の髪を切る…なんて事の原点みたいなものだったのかもしれない。

とりあえず人生観ががらっと変わった1ヶ月だった。

心残りはあの当時出会った人の写真をあまり取らなかったことと、連絡先を全然交換しなかった事。

あの子はどうしてるだろう?

あの人は元気だろうか?

ふと思い出しては嬉しいような悲しいような気分になる事がある。

その人にとっては一瞬のよくわからない出来事だったかもしれないけど、僕は6年たった今もやっぱり忘れられない。

けど今だにつながっている人もいる。

中には2年半前にはじめたこのブログをたまたま見かけてコンタクトをとってくれた人もいた。

なんかそういうネット上での再会もまた嬉しいものだなと思っていたんだけど、実は先日2日連続でその当時四国で出会った人がわざわざUp to Youまで会いに来てくれた。

高知のあいぴーと松山のやっぴくん。

高知で出会った時ギャル高校生だった

高知で出会った時はチャリンコ乗ったギャル高校生だった

なんか普通に大人になっててビックリした。

6年の歳月…すごい。

松山夜の商店街で路上弾き語り

松山、夜の商店街で路上弾き語りをしてた彼の横で僕は酔っ払ってた

愛媛、東京で活動中のシンガーソングライター”やっぴ〜”クンは地元ではTVCMやラジオや結婚式でのゲスト、主催ライブとマルチに活動中で、2017年にはフルアルバムを発売予定なんだとか。

路上弾き語りをしてた若者が…。

すごいなー。

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そして彼はやっぴくんに連れられてきた美容師のあっくん

二人は僕に会うためにわざわざ東京に来てくれたとの事だった。

超感謝です、ほんと。

めっちゃ嬉しかった。

10代だった若者が社会人になり、20歳だった若者がミュージシャンとしてデビューして、22歳だった若者は高円寺でよくわからない美容室をやるようになって…

時の流れは早い。

これだけいろんなことが変わる。

僕もたくさん変わった。

だけど彼らはそれでも6年前の僕を忘れず会いに来てくれた。

6年前、握手をして旅をして…なんてアホみたいなことをしたけれどこういう事があるとやってよかったなってやっぱり思うんだ。

旅とかってほとんどの人からしたら娯楽なのかもしれないし、遊びなのかもしれない。

その中で何かに意味とか意義を見出してやり続ける事なんか無駄だと思うのかもしれない。

だけど僕はやっぱりそうは思えなくて、旅は人生そのものだし、自分がやること成すこと自分にとっては無駄ではないんだと思う。

仕事やめたというネガティブなことがきっかけだとしても、そういう旅をした事で出会った人との思い出とか、つながりとか、知れたこととかはすごくポジティブに今の人生に影響してる。

道を聞いてきたフランス人と、道行く日本人と僕

だからこれからももっと旅しよ。

したい。

ってかする。

絶対。

じゅんさんじゅんさん言って会いに来てくれるような人をこれからもたくさん作りたい。

会いたいと素直に言える人をたくさん作りたい。

『これも何かの縁だよ』って優しくしてもらえた事とか、やっぱ忘れられないんだよ。

本当に嬉しかったです。

ありがとう。

世界のどこかでまた必ず会いましょう。

6年前に僕と出会った人、このブログ読んでくんないかなー…

もし『あれ、あのときの?』ってなったら是非連絡ください。

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