前回の記事→さらばブエノスアイレス
よく言われるんよね。
「世界で一番ビールがうまかったとこはどこ?」って。
僕は迷わず「アルゼンチン」と答えるんだ。
100人いたら100人がびっくりする。
「え?なんでアルゼンチン?」って。
その理由を今から説明しよう。
しばらくいたブエノスアイレスを出発し、僕はサンタフェという小さな街に向かった。
そこは別に観光地でもないし、有名でもない。
日本で言うところの、なんかたぶん山梨みたいなもんなんじゃないかと思う。
わざわざ行くとこでもないけど、行ってみたら意外とちょっと見るところある、みたいな。
途中で風景をカメラにおさめる。
…僕はバスで移動していた。
朝乗って、夜到着する。
8時間ほどの小旅行。
バスターミナルでトモコさんと旦那のホアンくんが待っていてくれた。
ホアンくんの地元であるサンタフェは本当に小さな街だった。
大きいビルもなく、人もそんなに多くない。
ホアンくんの実家から眺める風景も、なんかこんな感じ。
のどか。
この日は、ホアンくんのお父さんちに行って、バーベキューの予定。
まずはスーパーでお買い物。
カートが駐車場の変なところに放置されてるあたりが非常に南米っぽい。
スーパーにはいると驚いた。
ビールコーナーにあるビールの多さに。
ずらーーーーっと。
山梨弁も「○○ずら」とか言うんだけど、その比じゃない。
山梨県民10人分くらいはずらずらずら…ってかんじ。
「世界一ビールが美味しかったのはどこ?」
ビールが飲める美容室なんてやってると、そんな事を言われる。
そんな時僕は「サンタフェ」と答えるんだ。
確かに、他にも美味しいと思ったビールは山ほどあった。
灼熱のなか飲むタイのシンハービールも、なかなか売ってなくて探し出して飲んだインドのキングフィッシャーも、ドイツで飲んだ名前もよくわからないビールも。
だけどサンタフェが一番。
サンタフェはアルゼンチンビールの60%を作っているビールの街。
日本で言う日本酒の名産地、焼酎の名産地なんてもんじゃない。
あの日本より何倍も広いアルゼンチンの60%がそこに集中しているからだ。
今もし会うことがあったら僕はありがとうを言いたいのだが、サンタフェがそうなったのはとあるドイツ人のおっさんのおかげだそうだ。
チリもそうだけど、アルゼンチンはヨーロッパからの移民がものすごく多い国だ。
アルゼンチン生まれ育ちだけど、家系はイタリアとかよくある話。
何世紀の話か知らないが、むかーしむかし、とあるおっさんがドイツからやってきたそうだ。
その人には失礼だが、話を聞いててちょっと変態だと僕は思ってしまった。
“うまいビールを作るため”アルゼンチン中を旅したそうだ。
変態じゃないか。
おっさんは水がうまいこのサンタフェに目をつけ、ビールを作り始めた。
それが今では国内60%にもなると。
すごすぎるだろ。
もうおっさんありがとう。
変態とか言ってゴメンナサイ。
このサンタフェには巨大なビール工場があるんだ。
前日の夜、実はそこに連れて行ってもらった。
(ものっっっっっっすごく残念なんだけど、事情により写真は撮ってないので文章のみ…)
ビール工場の脇にはひとつの細い道が通っている。
その横に何やら光り輝くレストランがあった。
よくある郊外のレストランという出で立ち。
中に入るとなんともおしゃれな感じだった。
ドラフトビールがグラス1杯100円ほどと安い。
せっかくなんで、地ビールのサンタフェビールを飲んでみることにした。
「う、うまい」
正直、どのビールが旨いとか僕はよくわからない。
この日本酒うまいっすね!とか思ったこともない。
味音痴なのかもしれない。
だけど、その目の前にある黄色い物体に関しては素直にうまいっすね!と思った。
それもそのハズ。
工場とそのレストランはパイプで繋がっていたからだ。
作りたてビールが蛇口を捻れば出てくるくらいのノリのようだった。
神か。
これは世界一と言わざるを得ない。
話は戻り、お父さんちにおじゃました。
そこでもスーパーで買ったビールをいただく。
これもまいうーである。
もちろん僕が飲んだ。
あ、彼女はミカちゃん。
アルゼンチンと日本のハーフ。
この時まだ2歳くらいだったような気がする。
彼女は僕の天使だ。
世界各国で可愛い女の子に会ったり髪を切ったりしてきたが、ミカさんはその中でもなんかいい具合にツンデレで。
そこがまたいい。
最後に一言。
ビールが好きなあなた。
飲んだくれなあなた。
騙されたと思って行ってみてください。
サンタフェに。
遠くても行ってみてください。
サンタフェに。
ドイツ人のおっさんマジありがとうって思いますから。
おっさんバンザイ。
つづく。
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