昨日静岡から年収3000万の美容師さんがわざわざUp to Youに髪切りに来てくれました。
いやーすごい。マジですか。
お金だけじゃないですが、世の中上には上がいるもんですよね。
僕なんかそういう意味では足元にも及ばないわけですが、それでも「なんかアドバイスくれ…」と話を聞きに来てくれて、もう脱帽です。
なんか美容師オーナーさんが相談に来てくれることも結構あります。
シェアサロンをやってるからなのか、会社の事業で美容師コミュニティサロカリを運営しているからなのか。
まあわかりませんが、今日は日本の面貸サロン事情の変なポイントについて思いっきりツッコんでみようかと思います。
いつものように特定のどなたか、またはサロンについて書いているわけではないのでjunkuwabara的考察とだけ思って読んでください。
まあタイトルでなんとなくバレてますよね笑
美容業界じゃない人にもわかるように書くので読んでいってください。
興味がない人はこちらを読んでてください→ チン毛がなぜ縮れてるのか知らない人はこの記事を見ないと後悔するかもしれない
美容室もシェアする時代が到来
世の中には使われていない物って実はたくさんあると思うのですが、今そういったものを”使いたい人”とシェアしようという動きが世界的に活発になっています。
旅行、交通、道具など…いろんな業界でです。
そういった個人間の貸し借りは昔から当たり前にあったことなのですが、そういう方々をつなぎ合わせるマッチングサービスがなぜ今こんなにも注目を浴びているのでしょうか…?
最近日本でもよく耳にする「Airbnb」
これは「190カ国の地元の家で、暮らすように旅をしよう」っていうのをテーマに、世界中の人々と部屋の貸し借りをするというウェブサービスです。
現在は世界190カ国55万カ所以上で、1000万回以上(2013年)利用されるまでに成長したそです。
このように注目されている理由として「個人間の貸し借り」がインターネットの力を借りて、今までより広範囲につながっていくようになったからのようです。
宿の貸し借りのAirBnBだけでなく、ウーバー、カーシェアリングなど様々なサービスがあります。
日本でも近年シェアハウスは人気ですし、もはやメジャーな暮らし方の1つと言っても過言ではないですよね。
日本にはまだまだ浸透していませんがヨーロッパ諸国の都市部などでは市民が街のあちこちにある自転車を使いたいときに使って、返したい場所に返す…というようなサービスも一般的になっています。
このシェアリングの時代の流れに美容業界も必ず乗っていくでしょう。
今はまだ…です。
でも2017年、2018年と必ず変化が訪れます。
僕は占い師でも細木数子の息子でもなんでもないんですが、こればっかりはわかります。
そういう時代の流れだからです。
借りる側も得して、貸す側も得するのであればその流れに逆らう意味は特にありませんよね。
何かを始めるにはリスクがつきもの
お店を始めるにしても、ホテルを建てるにしても、車を買うにしても、美容室を始めるにしても”何かを始めること”って基本的にはリスクがかなりあります。
コケたら残るのは借金だけですから。
その中で夢を持ってやるわけですが…。
何かを買ったり始めたりするのは高額なために始めるにも勇気がいりますが、シェアリングサービスがあればその必要もありません。
リスクなしで、すぐに試せる。すぐに働ける。すぐに使える。
それが借りる側の最大のメリットです。
貸す側は「どうせ空いてるし」「どうせ使ってないし」のどうせ…が価値に変わり自分の収入となるわけです。
それが最大のメリットです。
また多くのサービスがうたっているように、シェアすることで今まで知らなかった人やモノと同じ時間を共有することによる新しい出発見があります。
シェアハウスやAirBnBの他にもある様々なサービスが今後日本で普及したら、きっと僕らの生活が変わるとともに、周りには新しい人との出会いが増えていくでしょう。
美容業界の従来のシェアサービス、面貸サロンとは
近年美容師の働き方は多様化していますが、その中の1つに「面貸し」という働き方があります。
雇用や業務委託とは違います。(後述)
ミラーレンタルとも呼ばれるその「面貸し」は、美容室側が鏡と椅子や設備など店舗の一部をスタイリストに貸し出すものです。
スタイリストはその鏡と椅子と設備を借りた対価として美容室に使用料を払うのが一般的で、フリーランスと呼ばれどこにも所属していない人が使用することがかつては多かったようです。
面貸しの特徴としては、お客様が美容室ではなくてスタイリストについている点が挙げられます。
つまり「あなたについていくわ」的な状態です。
ですが店舗を持っていないためにサロンを借りて、そこに顧客を呼び込み施術を行うわけですね。
スタイリストは店舗をもつリスクはなく、使用料を払うのみなので非常に無駄がなく合理的な働き方です。
そういった美容室とスタイリストの従来の契約システムは「歩合制」のところがほとんどです。
「歩合制」というのは借りた店舗で売り上げた金額の約40%〜50%をもらうというものです。
逆に言うと約50%〜60%は美容室側に持って行かれてしまうというわけですね。
スタイリストは雇用されているわけではないので、その自身の売り上げた金額の50%(めんどくさいので50に統一)の中から保険や税金などを支払わなくてはなりません。
そういったデメリットもありますが、面貸しという働き方には多くのメリットがあります。
なによりも自由なわけですね。
場所、時間が選べるのはもちろん、給料も働き方次第でコントロールできます。
単純にたくさんお客様がいれば雇用されているより稼げてしまうわけです。
それに1人で1から10まですべてを担当するため、大変な面もありますが慣れればそれは顧客満足度につながると思います。
また、貸し出す美容室側としても「どうせ使わないんだし…」っていう未活用部分を貸し出して利益にするばかりか、いつもはいないスタイリストが同じ空間で働くことは大変いい刺激になります。
拘束時間が長く給料が安いと言われている美容師の働き方の中では本当に魅力的な働き方だと思っています。
すべての美容師がそこに魅力を感じるとは思いませんが…。
ですが多くの美容師は実際のところそういう働き方も望んでいるように思います。
でも…
面貸サロンと面貸スタイリスト数が伸びない理由とは?
面貸サロンはまだ世の中にはぜんっぜんありません。
始まりはなんと20年も前。
そんな昔からあるサービスで、なおかつシェア時代が到来しているにも関わらず増える気配は一向にありません。
不思議ですね。
その理由をここでハッキリいいますが、それは使用料の価格設定がボッタクリレベルで高いだからです。
ボッタクリです、ボッタクリ。
スタイリストに貸し出してる美容室が使用料として売上の50%以上も持っていくのはいくらなんでも取りすぎなんですよね。
美容室がもらうのが40%までがギリギリラインかな…と。
今流行りの業務委託サロンは大体売上の40〜50%がバックしますがそれはオッケーなんです。
そもそも、面貸サロンの違いはご存知でしょうか?
よーく似ていますが、実はぜんぜん別物なのです。
わかりやすく1点だけ違う点をあげます。
✱業務委託サロンのお客様は美容室についている
面貸サロンで働くスタイリストには、先程も書いたように”スタイリストにお客様がついている”状態なのに対して、業務委託サロンで働くスタイリストはそうではありません。
その店舗の立地や価格に魅力を感じてお客様が来店します。
この違いはとても大きい違いです。
つまり、面貸サロンで働くスタイリストは自分で顧客管理と集客をしなければなりませんが、業務委託サロンで働くスタイリストはその必要がありません。
お店がお客様を呼んでくれるので、来た方を施術するわけです。
この違いを理解した上で考えると、業務委託サロンでスタイリストが売り上げた金額の50%を支払うのは当然といえば当然なわけです。
だってお客様がたくさん来るように良い立地に店を建て、顧客管理をし、広告費を払って集客をして、しかも材料(カラーとかの)も店舗が買っているわけですから。
それくらい貰わないと店側は割に合わないわけです。
…ところがですよ。
面貸サロンが50%をもらうっていうのはどういうことなのでしょうか?
集客しない、立地もいいわけでもない、ただ席を貸しただけで50%?
一体どこからその数字が出てくるのでしょうか。
タイ人もビックリするくらいボッタクリです(笑)
今面貸サロンに移行するスタイリストが少ない原因はそこにあります。
店をやめてフリーランスに移行したとしてもそんなに多くのお客様がいなければ結局のところ生活できないと思われているからです。
まあ50%以上とられたら無理ですね。
50万円売上ても25万円しか手元に残らず、そこから交通費とか保険とか払うわけですから。
多くのお客様がいないとキツイはずです。
でも、本当にそうなのでしょうか?
多くのお客様がいなくても使用料が安ければ意外とやっていけるんじゃないでしょうか。
というかなぜ50%になったのか?
[面貸サロン 東京]とかって検索すると求人サイトが出てきます。
面貸しスタイリスト求人サイトを見てみるとやっぱりどこも「使用料として売上の約50%いただきます」と書いてあります。
なぜ50%になったか?
その理由は、単純に誰かがやり始めたからでしょう。
“面貸し美容室”というスタイルを日本で流行らせた方がいるわけです。
その誰かってのは某大手ITの会社なんですが、そこのお偉いさんが設定したと思われます。
ここでは詳しく書きませんが…
サロンは求人会社にお金を払って面貸スタイリストを呼ぶからそのコストが50%に入ってるんでしょうね。
当時は良かったかもしれませんが、それが20年経った今も平均値として存在してしまってるのです。
もう1つなぜソレが変わらないかというと、自分の店を貸してる美容師オーナーが、他の店を借りたことがないからだと思うんですよね。
借りる側の気持ちとか、リアルな収入がわからないんでしょう。
店舗=自分の資産で、それを貸すことには一定のリスクがあるわけですからダダでというわけにはいきません。
だけど50%だと高すぎて借り手がつきません。
感覚的にはレンタカーとか、レンタルスペースとか、アパートとかそういうのと同じ感じで良い所でも高かったら借りないですよね。
厳密に言うと”借りれない”って感じですね。
実はAirbnb共同創設者のジョー・ゲビアさんは仕事でも私的な旅行でも、これまで150回ほどAirbnbに登録されている空間に泊まっているそうです。
サービスを提供する身として、サービスを使う人が体験する一連の流れを自らも体験する必要があるからだそうです。
「こうした体験をデザインしていくのが私達の仕事です」と。
ごもっともな意見すぎてぐうの音も出ません。
やっぱり使う側の気持ちは使わないとわかりません。
僕個人は実際にフリーランスのスタイリストに店を貸していますし、自分自身も様々なサロンを借りに行っています。
サロカリを通してそういうことを行っているのですが、やはりこの貸し借りを体験することは双方にとってすごく価値があるものだと感じています。
その価値とはいくらなんでしょうか…。
面貸サロンの適正価格は…
スタイルとしては、月額家賃もしくは週割り、日割り、時間割りで払ってもらうのがベストです。
%ではなく。
アパートの家賃が収入の半分だったら「はあ?」ってなりますよね。
それと同じです。
自分の今の店や周りのオーナーさんの話など総合すると1時間あたり1000~1500円、1ヶ月8~10万円くらいがベストです。
もし%にするなら70~80%バックが妥当と思われます。
そして貸す側は技術、出勤時間、お金の事などは一切ノータッチです。
雇用ではないのでそういう事に口出しするのは法的にNGというわけです。(例えば月何日来てねとか、何時間使ってねとか)
美容室は、席と設備を貸して家賃だけ貰えばそれで良くて、そもそも売上がいくらかなんて知る必要もないのです。
材料も店ではなくてスタイリスト自らが管理。
もう完全に別なわけです。
美容室に来店した新規のお客様を面貸しスタイリストが担当することもなく全く別。
なんかさっぱりしすぎな気もしますが、本来はそうでなければいけないんですよね。
雇用じゃないのだから。
逆に面貸サロンと名乗っておいて「あれやってこれやって」「新規も入れます」とか言ってるところはめちゃくちゃなので気をつけてください。
違法で人を使っているところなので避けたほうがいいと思います。
実は僕もUp to Youをフリーランス美容室にする計画を立ててます。
1ヵ月6万円…みたいな感じで破格で。
結構お金貯まります。
まあでもそうやってマンツーマンで働いて、お金も稼げて、時間もあって楽しかったらなんでもいいですよね。
僕は完全にウェルカムです。
というのも、実は僕自身も阿佐ヶ谷のバーの定休日を借りてUp to You2号店をやってたりもして、シェア時代にガッツリ乗っかっているわけです(笑)
昨日はその居酒屋Up to Youグランドオープンの日でした。
これから毎週月曜日に貸してもらうのですが、昔からやりたかった夢がリスクなしで叶ってしまいました(笑)
だから僕が持ってる資産も誰かに還元(シェア)できたらいいな〜と思っています。
サロンを貸してやってるっていうのはぶっちゃけただの傲慢
美容室オーナーがサロンを貸すという行為は、美容師に向けてのサービスだと僕は考えてます。
なんかどこかしら【大事なサロンを貸してやってるぞ感】が漂っている気がするんですが、なんなら僕は「使ってくれてありがとう」くらいな感覚だったりします。
なぜなら貸すことで学ぶことがたくさんあるし、なによりお金をもらえるからです。
自分の余ってる私物を、使わない資産を貸すだけで感謝してもらえて、こちらも感謝して、お金ももらえて。
美容師とお客様の関係性と似ているんですよね。
スタイリストは技術や接客をサービスとしてお客様に提供し、その対価としてお金をもらうわけで、サロンを貸す側もやはり同じようにサービス精神があるべきなんではないかと思います。
サービスとはつまり借りる人が気持ちよく借りれるような環境だったり、言動だったり。
実際に僕が他のサロンを借りてみて1番感じるのがそこです。
「このオーナーさん気を使ってくれていいなあ、やりやすいな」
っていう。
サロカリのパートナーサロンのオーナーさんはみんなそういう感じです。
「貸してやってる」じゃなくて「借りてもらってる」くらいな。
すごい気を使ってくれるし、その1時間、1日をすごく大事な時間だと思ってくれてる。
美容師が「貸して頂いてる」美容室が「借りて頂いてる」
そのくらいの気持ちのほうがお互い気楽ですしキモチイイですよね。
かつて家は所有するものでしたが、今は賃貸住宅に住むことはごく当たり前です。
さらには家をシェアする時代になりました。
これからはより一層何かを所有することにはこだわらず、必要なときにすぐに使える利便性とか合理性が求められる時代になると思います。
そして、最初からシェアすることを前提に美容師になったり、シェアすることを前提に美容室を作ったりする時代が来るはずです。
というわけで、これから必ず面貸サロンは変わっていきます。
理由はそういう需要がたくさんあるからですね。
もう無視できないところまで来てると思います。
でも貸す側、借りる側どっちが上とか下とかでもなく、お互いに本当に必要なものを必要として、無駄なく生きていくということは合理的でいいですよね。
そうやってたくさんの美容師が無駄なく働けるようになればな…と思って全国規模のシェアサロンコミュニティのサロカリを僕はやっています。
最初は僕と10名のオーナーさんだけでしたが、1人仲間が増えるごとに色が少しづつ足されていって、今はカラフルな虹のような感じなんじゃないかと思ってます。
お互いが尊重しつつ、邪魔はしないけど仲は良い…というような良い関係なんです。
同僚とも友達とも違う関係。
サッパリしてるけど濃いめ。
もちつもたれつ。
だから僕はみんなが大好きです。
このやり方なら、みんなが幸せになれそうです。
というわけで、シェア時代の到来と面貸サロンの話はこれでお終いです。
長々とありがとうございました。
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