美容師1年目とか2年目とか、アシスタントに読んでもらいたい記事。
僕は美容師っていう職業はあってもアシスタントっていう職業はないと思っています。
アシスタント=美容師見習い
スタイリスト=美容師一人前
その境界線は一般的には“髪を切れるかどうか”であって、しかもその基準はサロンごとにマチマチ。
だから実年齢やキャリア年数、美容師として大切なセンスなんていうものはとりあえず関係なくて、サロンが決めた基準をクリアするかどうかだけで見習いと一人前とわけられてしまいます。
なんかこういう風潮って未だにありますが、それは技術職ゆえのことで美容師を含む職人に修行期間はあって然るべきという考えだからだと思います。
まあ確かに美容業界は専門学校では実践的なことをほぼ学べないので、そういう期間は必要になってくるのもまた当然の流れだと思います。
でも僕はアシスタントとスタイリストという職業的な分け隔ては無いよな〜と思っています。
僕がアシスタントだった昔はあったと思いますが…。
でも今はないです。
今は美容師1年目が選択できる時代
ふとフェイスブックを見ると…
サロカリに入ってくれてる美容師1年目(大阪)の男の子が「カットしました」と投稿していました。
「おお、すげえ」
サロンを借りたかどうかはわかりませんが、いろいろ挑戦してるんだなーすごいなーって純粋に思いました。
そしてこちらもサロカリに入ってくれてる美容師1年目(東京)
彼は新しい美容師としてのあり方、そして道を歩もうといろいろ動いている男の子です。
大阪のサロンを借りてカラーしたそうです。
他サロンのオーナーに教えてもらうなんてありえなかったよ…。
すごい。
僕が1年目のときってフェイスブックとかで発信することもできなかったし、何よりそんな選択肢なかったよな…なんてふと思いました。
今っていろんなキャリアアップの方法や、働き方が生まれてきていて、本当選択肢が広がってますよね。
そして実際に行動している彼らを尊敬します。
嫉妬もします。
アシスタントはいずれいなくなる
僕が思うに、これからの時代は美容師アシスタントというくくりは一部を除いて無くなっていきます。
これは100%なりますって断言できます。
ちなみに一部ってのは有名サロンとか生き残っていく大型サロンのことで、従来のアシスタントやって当たり前〜みたいな形はたぶん今の10代後半の子達で最後になるでしょう。
16〜19歳くらいの人たちで。
そっから下は大きく分けて美容師スタイリストになる為に3パターンの道を歩むはずなんですが、まあそれは長くなるので割愛。
気になる方は直接聞いてください。
美容学校卒業後、サロンに就職してアシスタントを数年やるという選択肢しかなかったこれまでとは変わっていくというわけですね。
もう現在その流れはでき始めていて、美容学校卒業後に最短3ヶ月で美容師スタイリストになることはもうこの日本では可能です。
みんな知らないだけで。
3年じゃなくて3ヶ月ですよ?
アラサー以上の人からしたら信じがたいですよね。
3年アシスタントやって、10年スタイリストやって経験積んで、33で独立開業!なんていうよくある美容師のお手本みたいな人生設計はもうすでに過去のものになっているかもしれません。
20代前半でサロンオーナーになる人もいるだろうし、ブランドサロンで長く働く人もいるだろうし、卒業後すぐフリーランスとして独立する人も増えてくると思います。
昔の1年目って何か制限が多かった…
美容師1年目なんて、ペーペーのヘナチョコで買い出しもまともにできない、床もキレイに掃けない…そんなイメージが昔はありました。
僕も1年目だった約8年前は右も左もわからず「気づくのが遅い!」「カップの洗い方が汚い」とかなんとか言って怒られてばっかでした。(優しかったけど)
そんな新米だった頃はお客様をカットしたりカラーしてお金をもらうなんて遠い未来の話だと思ってたし、スタイリストになるまで平均3年くらいかかると言われているこの業界で3年間のアシスタント期間は当たり前のことだと思ってて。
石の上にも3年…なんて言いますが「3年とかなげえ」ってぶっちゃけ思っていましたけども…。
とりあえず選択肢がなかったんですよね。
そんなアシスタント時代の産物がこれ。
1年目から今までの自分が学んだことをファイリングしている美容師ファイルというものを僕は持っています。
いくつかある自分の美容師の歴史みたいなもんの中の1つです。
1年目の時から学んだカットやカラーなどの技術的なことや、セミナー行ってもらった資料や、オマケでお客様から貰った手紙などなどが入っています。
持つと結構重たくて、筋トレできます。
改めて見返すということもあまりないんですが、気分的に何かあったときに見返して初心を思い出すというか、そういう事はたまにします。
なんかそんな感じのものです。
その中に何枚にもなる紙たちがファイルされているページがあります。
それはアシスタント1年目2年目の時に、まだカットとか全然よくわからなかったんだけど練習モデルさんを連れてきてカットやカラーをしてた時のもの。
当時働いていたサロンは試験制度で、1ヶ月に1回の試験にパスして、合計30個?パスすればスタイリストに…みたいな感じでした。
シャンプーから始まり、カラー、パーマ、カット…というように順番が決まっていました。
まあよくある教育カリキュラムだと思います。
基本的には営業後には月一の試験の練習をひたすらやっていくような日々で。
なんか毎日同じことの繰り返しって感じで、やってもどんどん先に進めるわけでもなかったので、ちょっとつまらなかったんですよね。
だから休みの日、練習会がない日に友達とか街で声かけた人を連れ込んで先輩に見てもらいながら実践の練習を勝手にしまくっていました。
カウンセリング一緒にやってもらって、カットの展開図見てもらって…みたいな。
高千ほ様(笑)高千穂大学に通ってた女の子のパーマしたときのやつ。
たぶんこういうのは一般の方から見たら呪文にしか見えない。
アシスタントながら割りと勝手にやってましたけど、当時はやっぱそういうの良くないよ的な雰囲気あったんですよね。
「そんなできないことやるなよ」「順序ってもんが…」みたいなことを先輩に言われたりもしました。
店長はそんな僕を買ってくれてましたけど…。
まあ確かに出来ない事でしたけど、僕はずっとノーミスで試験をパスし続けてましたし「やることやってるんだからよくね?」みたいな感じでした。
すごくその頃から思っていたのが「なんで出来ないことはやっちゃいけないの?」というもの。
できないからこそやるんじゃんとか僕は思ってましたし、正直言って見て盗めみたいなのとかよくわからなくて。
例えばハサミもまともに握ったことない人がカットしてる人の後ろでカットさばきを見てたって何がなんだかわかりません。
同レベル(ハサミを持って髪を切るというレベル)まで自分がいかないとやってることの理解もできませんし、わからないことを質問するにもわからないことがわからないのだから質問だってできません。
見て覚えろなんてそんなの雇われてる側からしたら無責任だと思うし、ただの時間の無駄だと思うのです。
見ただけでうまく切れるくらい天才だったらそれこそ修行期間なんかいりません。
まあ僕の意見ですが…。
だから試験の練習以外に実践的なモデルトレーニングをずっとやってました。
美容師1年目でもお金はもらうべき
僕はそんな感じで勝手にやりたい気持ちはあっても、一人で勝手にやると怒られたので先輩に付いてもらってあくまで”練習の一貫でやってます”くらいな感じでやるしかありませんでした。
だからお金はもちろんもらってませんでした。
でもそこで感じた矛盾。
営業中はお金を払ってきてくれてるお客様のカラーをするのに、営業終了後に友達のカラーをするときは先輩に見てもらってる練習だからといってお金は貰わないのは変じゃね?と。
まあそんなこと言えなかったんですが…。
僕思うんですけど、美容師の人ってお金をもらえるようなスキルを身につけたらスタイリストだよみたいに思ってる人って多い気がします。
それまでに数年トレーニングしなきゃいけないからみんなやってるんだよ的な。
まあそうかも知れないですが「なぜ0か100なの?」って思います。
社内の試験に受かる前日はカット0円、受かった翌日は5000円。
その1日で何か特殊能力でも身につけたわけじゃないですし、普通に考えたら変ですよね。
“キャリアとともに価格の変動が起こってない”わけです。
もっと言えばスタイリストデビュー1日目とスタイリスト10年目の店長が同じカット価格だったりするのも疑問です。
どこかで線引きをしなければいけないのはわかりますが、仕事的には目に見えない技術や接客にお金を払ってもらってるのですし、1年目だって頑張って成長し続けてるわけだから500円とかでも料金発生させるべきだと思うんですよね。
お金を貰わないと人はやっぱりどこかで手を抜くし、払わないとモノを大切にしません。
言い換えると練習台になってくれる方もタダだからいいやって家帰ってブローとか手入れとかしなくなるかもしれません。
お金を払ったからこそ大切にする、頑張る…っていう心理は必ずあると思います。
1年目が2年目になれば、経験値も知識も上がりますよね。
そしたら500円を1000円にすればいい。
修行ってそういうこと。
ロールプレイングゲームと一緒です。
レベル上げしてもレベル上げしても強い新技覚えない(覚えさせてもらえない)みたいなゲームだったらやめますよね。
美容師アシスタントはもっといろいろやったほうがいい
「俺の若いときはあーだこーだ…今の若いもんはどーのこーの…」なんてカッコわいること言うつもりじゃないです。
店によくアシスタントの子も髪やりに来てくれたり、サロカリとかっていう美容師コミュニティを通して20歳そこそこの子とかと関わる事ってわりとあるんですが、なんかすごいなーって思うんですよね。
自分がアシスタントだった時との違いがたくさんありすぎて泣きたくなります。
まず最初に書いたように選択肢が多い。
それに個人で発信ができる。
SNSで業界のすごい人とかとつながることもできるし、学ぼうと思えばネット上でいくらでも学べる。
めっちゃ羨ましいっす。
だからいろんな感性があふれる中で生きているアシスタントの人たちにむしろ教えてもらいたいなーって思う事がたくさんあります。(僕は年下からこそ学ぶべきだと思う派)
でもあえてこの場でアラサー美容師の僕が調子乗って言うとしたら「いろいろやりまくったほうがいいよ」ということ。
というか、僕が1年目ならそうします。
ソッコー独立するかも。
秒で。
10年くらい前は1年目は1年目らしくしてなきゃいけなくて、アレもダメこれもダメって事ばかりだったけど、今はもうそんなのない。
誰でもやれる環境が整ってるわけだから、やったもん勝ちだと思います。
「何していいかわかりません」っていう人は勝ち負け云々より前で、そもそもスタート地点にさえ立ってないのかも。
新卒でいきなりカット専門店でカットを学んですぐバリバリ働き始めてもいいし、アカデミーで技術学ぶでもいいし、独自の方法でコンテンツ作って配信してお客様増やすでもいいし、お金ためてフリーランスサロン立ち上げるでもいいし、有名店で名を挙げるでもいいし。
働きながらならでも面白いことしてSNSのフォロワー増やすとか、流行りそうなことをやり始めるとか、副業してみるとか、経営学のセミナー行きまくってみるとか、農業やってじゃがいも作ってみるとか、やれる事はいくらでもある。
たぶん上の人はアレやれコレやれって丁寧に言ってくれると思うのですが、言われたことだけやってたら取り残されてしまうほど今の時代はスピードが早いです。
だからある意味大変なのかもしれないですね。
でも1年目でも立派な美容師だと僕は思います。
アシスタントなんて職業はないです。
リタッチとシャンプーしかできないのであれば、リタッチとシャンプーしかできない美容師ってだけ。
お客様はリタッチとシャンプーを求めて来店する方もいるわけだから、自分が担当して満足させることができるのであればお金はしっかりもらったほうがいい。
できないのなら0円で練習させてもらえばいいが出来るのであれば500円でも1000円でもいいから頂くべき。
【値段=自信】なので正解はないです。
人から大切なお金を貰ったら、そのお金と金額の意味と払ってくれた人のことを考えるようになります。
金額を大きくする為に勉強しないといけないことに気づくし、払ってくれた人は自分の何に対して払ってくれたのかと考えます。
できるだけ早く、美容学校出た瞬間からそういう経験を積んでいくほうがこれからの時代大切です。
それぞれサロンにはやり方がありますが、何もそれが人生の全てではないし、火曜日とか夜ならそういうレベル上げをしてても問題ないのでは…と僕は思います。
こういう考えに対して「そういう人が増えると業界全体の技術レベルが下がる」とか言い出す方もいそうですが、多様化しているだけであってレベルが下がるというよりは、レベルと価格でいくつかにランクわけされていくようになるだけなのかなと。
1000円カット、カットカラー3000円の業務委託、カット5000円の個人サロンやフリーランス、カット10000円の有名サロン。
美容師が行きたい道を選べいいだけですね。
なんか長々と書いてしまいましたが、まとめると…
成り行きに任せるのではなく、選択する人生を歩んだほうが絶対近道だし、自分の理想が手に入る用に思います。
そんな時代を生きてる今のアシスタント超羨ましいっすって事でした。
元アナログアシスタントのおっさんにいろいろ教えてください。
ん?
いや、まだ若いよ俺は…