今ではシェアリングエコノミーっていう言葉をよく聞くようになりました。
日本だけでなく、今後間違いなく世界はシェアで経済がまわるようになります。
それがなぜなのか?を勝手に説明してみようかと思います。
シェア経済の市場規模は拡大すると予想
シェアリングエコノミーという言葉や考え方がチラホラ日本で話し始められたのが2015年頃、流行り始めたのが2016年頃だと思います。
シェアハウスとかはもう少し前からありましたが、民泊、カーシェア、シェアサロンなんていうのはむしろ結構最近聞くようになった言葉だと思います。
https://www.google.co.jp/amp/s/s.response.jpより
グラフを見ると市場規模が伸びまくっているのがわかると思います。
今から3年後の2021年度には1070億9000万円にまでなると予測されているそうです。
“シェアで回っていく世の中”がこれからもっともっと当たり前に感じられるようになり、自然と仕事もそういう方向にシフトしていくことになると思います。
でも「なぜ今までと違う世の中になるのか?」という本質的な部分を理解しないと、今後の方向性はなかなか決められないのではないかと思います。
僕自身は2014〜2015年の約2年間で海外を周って1300人の髪を切る中でそれぞれの国の人と話してみて気がついたことがありました。
日本にシェア文化がやってくるよりもっと昔から先進国でも途上国でもそういう文化がありました。
例えばニューヨークでは、シェア美容室というのが当時すでに一般的な働き方になっていました。
ひとつ屋根の下、いろんな美容師が1席の主となりそれぞれ自分のビジネスをしていて、「全く新しい」と衝撃を受けたのですが、それがニューヨークではごく当たり前な働き方の1つでした。
ドイツでは20代の若者はみんなルームシェアしたり、シェアハウスに住んでいて、遠出する時は当たり前にカーシェアリング(個人同士で乗り合いをする)文化がありました。
他にもアジア最貧国のひとつラオスでは紙幣ではなく物々交換の文化がある事を知りました。
髪を切ってもらったら、野菜をあげる。
ご飯をもらったら物をあげる。
場所をシェアしたり、物をシェアしたり、交換したり。
そういった文化をとても素晴らしく感じました。
ムダもないし、お互いにメリットが大きい。
むしろデメリットとして考えられることがあまりないように思いました。
それが今日本にやってきて、経済や世の中を変えようとしています。
利他と利己
シェアリングエコノミーを語る上で外せないのが利他と利己。
あまり聞き慣れない言葉で【利他】という言葉があります。
簡単に言うと【利他】とは、損失をかえりみず人のために行動をおこすことです。
【利己】という言葉は知っている人も多いと思いますが、【利己】とは自分の利益のために行動をおこすことです。
すごく大雑把にわかりやすく言うと、ボランティアは利他的な行動、自分の利益のための仕事は利己的な行動という感じでしょうか。
僕は、仕事は生きるためにすることで、生きるためにお金が必要なので、お金のために働くという認識がかつてありました。
仕事が好きとか嫌いとか関係なく、お金のためにはとにかく働くしかない…と。
「世のため人のため」なんていうのは綺麗事で、そうやって利益を考えず人のために生きていくことはとてもとても難しいことでした。
だから利己的に生きていくことは当たり前であり、何もおかしなことはありませんでした。
そもそも人間の本質は【利己的】だといいます。
遺伝子レベルでそうできているようです。
ですが、18世紀までは人は【利他的】に生きていたそうです。
とても矛盾してますが、ちょっと考えてみるとそうしないと生きていけなかったのではないかと思います。
2000年くらい前は日本の人口たった30万人しかいなかったそうです。
その時の世界の人口は3億人ほど。
そこから18世紀までに2倍くらいには増えたものの、人口は6億人くらいしかいなかったようです。
人口が少ない=生産者が少ない
というわけなので、モノは当然今より少なく、1人が生産できるものにも限界があったわけです。
米農家は米を作るので精一杯、キャベツ農家も漁師も同じです。
漁師が米を食べたかったら自分がとった魚と米を近所の人と交換するしかなかったはずです。
通貨があったとしても現代のように全ての人がそれを使いこなすことは物理的に無理で、それが【利他的】な行動を当たり前にしたのだと思います。
そして250年前。
イギリスで産業革命が起こり、働き方が大きく変わりました。
世界の人口は10倍以上に増え、現在は76億人。
みんながみんな生産するので、当然それを売ろうとします。
つまりシェアをしていた時代が終わり、誰もが生きるために利己的に生きる時代になりました。
日本では30年前にバブルがあり、豊かになった人々は所有をするようになりました。
マイカー、マイホームだけでなく、レストランでのご飯さえも1人1つ。
自分や家族のために仕事をし、利益をうみ、資産を増やす。
経済成長をとげた日本では特にその流れができ、世界に差をつけていったのだと思います。
インターネットで世界が変わる時
1995年にインターネットが生まれ、今年で23年。
スマホが世に出てから10年。
生活は大きく変わりました。
地球の反対側に暮らす人でさえも1秒でメッセージのやり取りができ、顔を見て電話ができ、SNSで手にとるようにその人の暮らしがわかります。
出会うことがなかった人同士が出会うことができ、お互いの情報だけでなく、資産さえも共有できるようになりました。
例えば災害が起きたときのネットの募金とかはわかりやすいものだと思います。
行ったこともない地で起きたことに心を傷め、余裕がある人がお金を寄付する。
ただでさえテクノロジーが進歩して行動範囲が広がり、昔は行けなかった場所に行けるようになり、さらにその地で出会った人とSNSで繋がれる今。
ご近所さんが困ったときに助け合うようなことが国境も人種も宗教もこえて起こりうるわけです。
それは利己的ではなく、利他的な行動です。
利己的な行動や働き方で急成長した世界と人々が、今また昔の生き方に戻ろうとしているのだと僕は思います。
シェアリングエコノミーがこれだけ経済の中心になると言われているのはインターネットの発達が1番の理由です。
でも今は大昔の農業だけで生きていた時代とは違います。
これから簡単なことはロボットがかわりにやってくれるようになります。
それもまたテクノロジーの進歩であり恩恵ですが、間違いなく人間1人あたりの生産性は落ち、利己的に生きることは難しくなっていきます。
ならば今後1番大切になっていくことは何なのか?
それが【利他的な仕事】そして【信用を生む】ということです。
いかにありがとうを生むのか。
働き方改革だ何だ言われているのは、結局のところそういう変化があるからだと思います。
僕が理容美容業界で提案してる美容師同士の仕事をマッチングするというコミュニティの本質的なところは【いかに利他的な仕事をできる場を作るか】という部分です。
利益ゼロで世のため人のために…なんていうのは普通に考えて無理です。
ロボットが出てきて今の仕事がなくなるかもしれないことを考えるとなおさら無理です。
だから人はより利己的に働こうとするのですが、本当に大切なのは【利他的に働く】ということです。
なぜシェアなのか?の答えは「自分の資産を貸し出すことで利益を出す、だけど借りた人も利益を出せる」という関係性にあります。
例えば美容室の席が余っていて、それを貸すことをしたら貸した人には利益が出ます。
つまり仕事です。
でも借りた人もお客様を施術できるようになるので、利益が出ます。
お互いにwinwinと言うやつです。
教育も同じです。
美容業界では「雇用して無料で技術を教える」という概念が強いので、教育は仕事というイメージはまだないかもしれませんが、技術や知識を教える事で教わった人が仕事に活かして利益をだせたらそれは【利他的な仕事】といえると思います。
貸した人や教えた人からお金をもらったとしても、その人達にとっては自分の利益に直接つながること。
なので必ず「ありがとう」がうまれます。
その感謝の気持ちが”信用”に繋がります。
働く事で信用をたくさん作ることができれば、万が一困ったときもたくさんの人が助けてくれるはずです。
そうして成り立つのが信用経済・評価経済といわれるもの。
クラウドファンディングというサービスも一般的になってきましたが、結局そういう段階を踏んで成功するのだと思います。
いかにして、人と繋がり、いかにして利他的に働くか。
それがキーなのではないかと思います。
先日、運営している美容師コミュニティで現役美容学生さんがちゃんとお金を払って技術学び、美容師さんが教えている現場を見学してきました。
どんな人でも【何かを必要としてる人のために自分ができる事をして、お金をもらいつつも感謝される】という利他的な働き方が実現できたら最高だなと思い、そんなコミュニティをやっています。
シェアリングエコノミーの本質的なところは【利他的な行動】だと思っています。
それがきっと経済の中心になっていきます。
「人のために」
「だけど自分のためでもある」
他人の利益のための仕事…そんな働き方がこれからきっと当たり前になっていくはずです。
働き方を変えようっていう言葉の意味するところはそんなことじゃないのかなと思います。
今の仕事は利己的か利他的か?
それを少し考えてみると方向性が見えてくる気がします。
僕は利己的ではなく、利他的に生きていきたいなと思います。
そんなお話でした。