美容室業界は社会保険加入率が2〜3%程度らしい。
24万件あるうちの、数千件だけなのだといいます。
理由はいろいろとあるのでしょうが、そもそも「社会保険ってなに」みたいな人も多いかもしれないので、今回はそんな話。
大事なことです。
社員や美容師向け記事。知らないお友達には知らせてあげてくださいね。
社会保険とは一体何か
ネットで調べると出てきます。
社会保険制度(しゃかいほけんせいど、英語: Social insurance schemes)とは、社会保障の分野のひとつで、疾病、高齢化、失業、労働災害、介護などの事故(リスク)に備えて、事前に雇用者もしくは雇用主、あるいは両者が社会的供出をすることによって、保険によるカバーを受ける仕組みである。
社会保険は医療保険、介護保険、年金保険の3つのことを言います。
健康保険制度
健康保険制度とは、 業務外、つまり仕事とは別の理由で事故や病気にかかり、怪我をした場合やそれによって休業した場合に、かかった医療費の一部を負担する公的な医療保険制度 です。前述のケースのほか、加入者の出産時や死亡時に対処するための制度も設けられています。
なお、社会保険制度に加入する企業で勤務する者は、健康保険制度に加入することになります。加入者が会社から支払われる給与額に応じた保険料を支払うことで、いざという場合に保険の給付を受けることができます。
一方、自営業者など、何らかの事情で健康保険制度に加入できない場合は、国民健康保険制度に加入します。
介護保険制度
介護保険制度とは、 要介護認定を受けた65歳以上の高齢者や、40歳以上64歳以下で特定疾病による要介護認定を受けた人が安心して日常生活を送ることができるような保険医療サービスや福祉サービスを受けることができる公的な給付制度 です。
40歳以上の者には加入をすることが義務づけられており、65歳未満の者の場合は健康保険制度や国民健康保険制度と同時に保険料が引き落とされます。一方、65歳以上の者の場合は、主に支給される年金から保険料の引き落としが行われます。
厚生年金保険制度
厚生年金保険制度とは、すべての国民が加入しなければならない基礎年金制度である国民年金制度に上乗せされる形で、 加入者の老齢・障害・死亡時の保障として年金の給付が行われる制度 です。
主に会社員などが保険の加入者、いわゆる被保険者となり、年金の給付は被保険者や被扶養者である家族を対象に行われます
“社会保険未加入”ってどういうことかというと、つまり職場でこれらに入れるような福利厚生がないっていうことを意味します。
職場で入れないとどうなるかというと、自分で入らないといけないということになります。
美容室でも社会保険に入る事は義務化されている
社会保険に加入できるかどうかは就職するときによく考えたほうがいいポイントの1つです。
「知らなかった」で困るのは自分自身なのです。
美容室には、2つの種類があります。
- 法人
- 個人事業主
具体的な違いはいろいろとあるんですが、感覚的にわかりやすく言うと法人は会社、個人事業主は自営業みたいな感じです。
法人=自営業でもあるのですが、そこはニュアンスで…。
この法人には社会保険に入る義務がありまして、個人事業主は義務化されていないのです。
なので就職先が個人事業主だった場合は「社会保険に入ってもらえない」みたいな事も普通にあり得ますが文句は言えないようなところもあります。
個人事業主が悪いとかそういう話じゃなくて、”義務化されていない”という特徴があるということです。
あと、マジでたまに会うのですが個人事業主なのに「自称社長」「自称会社経営」な人がいたりするので、キチンと確認したほうがいいのかなと思います。
僕が”会社員”をやっていたときは国民保険だけしか入ってもらってなかった記憶があります。
実際、法人美容室経営者でも社会保険に入るのをしぶる人が結構いるようです。
というか本当に数%の加入率だとしたら数が合いません。
「スタッフの生産性○○円ないから無理…」みたいな感じで言う方もいるようですが、それとコレとは関係ないですよね。
生産性が低くても、それは低くしちゃってる社長の問題なので、社員は関係ないですし…。
社会保険料は会社が半分負担するもの
社会保険に加入してる前提ですが、社員にとっては「給料からなんか引かれてて意味わからん!」ってなるかも知れません。
社会保険料はだいたい給料から14%くらい引かれます。
ですが、それとほぼ同額を会社も負担しています。
労使折半といって、社会保険料を半々で払うのが基本的なのです。
だから全部自分で払う必要もないし、安心な部分でもありますし、さらにお得になることもあります。
例えば国民健康保険に自分で入ってた場合、前年所得の5.5%を保険料として翌年請求されます。
社会保険に職場で入ってる場合は保険料として給料の10%くらいが引かれるんですが、会社が半分負担するので実質的に5%くらいになるわけです。
ほぼ同じくらいの保険料ですが、国民健康保険と社会保険の違いとしてあげられるのが”扶養の範囲”です。
奥さんや子供がいた場合、国民健康保険だと+で保険料がかかりますが、社会保険だとかからなかったりします。
なので家族がいると個人的な負担は社会保険のほうが少なくてすむのです。
美容師も福利厚生を第一優先で考えていいと思う
実は僕もつい最近まで保険とかよくわからなかった部分もありました。
だって誰も教えてくれないし…。
5ヶ月間でお店を4店舗オープンさせて、急にバタバタっと社員が入ってくれたので、社労士さん(社会保険労務士という労働や保険の専門のお仕事の方)に相談したりしてちと勉強しました。
とても大切なことだと思いました。
昔は「自由気ままに一人で働く」とか言ってて、変な話自分の体一つだったから保険とかあんまり良く考えてなかったのですが、人を雇うって事をしてみてかなり考えが変わりました。
働いてくれる社員とその家族の安全の事は「社長である自分がしっかり責任持って考えていかないといけない」と今は思っています。
今って美容学生さんは「就職する美容室に福利厚生を1番もとめる」と言います。
僕はそれでいいと思います。
この手の話で1番嫌いなのがそれを「甘ったれている」とか「そんな保険とか給料のことばかり考えてるやつはだめ」とか「そんなやつは美容師やめろ」とか言うオッサンたち。
スタッフが安心して働きたいと思う気持ちがそんなに間違ってますか?
職業差別を自ら行っているというか、美容師の品位を下げる発言を平気でする方がいらっしゃいますが、それははたから見るとちょっと悲しいものですね。
技術だって、環境という土台の上に成り立つものであると思います。
人を雇うってそんなに簡単なことじゃなくて、お金よりも価値があるその人の”時間”を会社とか職場に提供してもらってるわけだから、真面目に考えてサポートする事は必須条件だと思うわけです。
それに、今ハタチ前後の学生さんや新卒の親は40〜50歳くらいだと思いますが、その親が「子供には福利厚生しっかりしてるところに就職してほしい」と望んでるといいます。
だから「甘ったれてる」とかじゃないと思います。
当たり前の事だから、それを「やる気ない」「美容師向いてない」とかいい大人が言うのは恥ずかしいことです。
とはいえ、真面目に払おうとすると結構負担があるのは事実だと思います。
でも給料の15%くらいです。
30万支給なら4万5千円。
逆に言えばそれだけ捻出できれば特に問題はないわけで、その代わりどっか削ったり、収入をちょっと増やせばいいだけだと思います。
経営や売上や集客についての講演会では広告費や材料費などの経費を落とす話もしています。
技術売上以外の上げ方も話しています。
広告費を毎月湯水のように使っている状況を少し変えれば、その分スタッフの給料や福利厚生にまわせます。
そういう仕組み作りに多くのサロンが取り組むようになればいいなぁと、イチ美容師として、イチ美容室オーナーとして思います。