髪結い髪結わず。
って言葉を知ってますか?
意味は『人の髪ばかりをゆい、自分の髪は放置してる人』というものです。
美容師やってる人なら知ってるはずですが、髪結いとはかつての美容師の事。
日本では鎌倉時代に登場しました。
ちなみにその”日本初の髪結い師”である藤原采女亮政之(ふじわらのうねめのすけまさゆき)という実在の人物が神格化され祭られている神社が京都にあり、御髪神社と呼ばれています。
髪結い師は江戸時代になると流行とともに増え、様々な働き方に変化してきました。
髪結い床と呼ばれる店でやっていたスタイルが床屋となり理容室となるわけですが、遊郭などでやっていた女性の髪結い師がそのまま美容師となるわけです。
時はたち、1960年代に登場したヴィダルサスーンによって”ヘアカット”という概念がもたらされ、その後の1990年代の第一次カラーブームによりカラーリングが一般化。
今ではあれよあれよとシャンプー、縮毛矯正、パーマ、ヘッドスパ、トリートメント、マッサージ、メイク、ネイル、マツエク…と技術が追加されていき、その技術さえも細分化していってます。
大変。
書いてみたけど改めて考えると大変なことですね。
そもそもなぜこういう事になったのかというと、その背景にあるのはカリスマ美容師ブームです。
店に押しかける様々なお客様に対応できたほうが利益になったからです。
『お断り』をすれば損。
それならば技術をアレコレ身に着け、いろんなスタッフにも同じように教育して対応していこうというスタイルそのものが価値となりブランドとなり、やがて常識となりました。
そして現代においてもっとも多いスタイルがまさにそのようなもので、つまり『なんでも屋』なわけです。
今は髪結い師に戻るとき
髪結い、髪結わず。
カット、カラー、パーマ、縮毛矯正…
もはや結ってません。
しかしこれからの時代、髪結い師に戻るという考え方はとても大切なのではないかと思います。
なぜなら、もう『なんでも屋』は流行らないからです。
たくさんあるので。
今そういうスタイルでやっている人がどうとかではなくて、需要は今後間違いなく減っていきます。
次に求められるのは『独自化』と『専門性』
“いろいろできないけどカラーは上手い”
“いろいろできないけどメンズパーマはうまい”
髪染め師
髪巻き師
とか言われることがあるかどうかは知りませんが、感覚的にそのようになっていくのは間違いありません。
特に都会ではここ1〜2年で爆増するでしょうし、地方では少し遅れて3年後くらいかなーなんて思います。
だから今先駆けてそっちにシフトしてくのは吉なわけです。
お客様はそういうところを探しています。
その後は専門店の集合体が生まれていきます。
現在主流のみんな平均的にできるトータルビューティーサロンとは違い、それぞれが特出している専門サロンの集合体です。
その方が利用するがわからしたら楽ですしね。
世の中を見渡してみるとすでにそういう形になってる業種ってあるんですよね。
ラーメンとか。
僕は美容師ならラーメン屋を参考にしてみるといいかなと思っています。
売れている店はもうすでにラーメンという食べ物ではないですから。
『○○○』っていう食べ物を確立してる。
それがパクられて広まることで『家系』だの『G系』だの出てきてるわけですが、そもそもは尖ったコンセプトのラーメンを出したことから始まります。
都会だといろんなコンセプトのラーメン屋がそこらにありますよね。
昔に比べて『なんでもある』ラーメン屋さんって減ったと思いませんか?
田舎はまだまだ多いですが、この流れは田舎でもやってきます。
遅れているだけで。
都心部のサロンもよく見てみると、そういうところが売れてきています。
縮毛矯正に特化したサロンとか、カット専門店とか。
これから独立する人、運営がやばくなってるお店は”何を真似るか?”とか”何を作るか?”とか”どこでそれをやるか?”が大事なのだと思います。
売れるかどうかはそもそも売れるものを売っているのかにもよりますし、売れるように売っているかにもよります。
今までの常識が何であれ、売れる髪結い師を目指すのは僕は良い方向だと思いますが、そう思わない人も多いのも事実。
だけどやりたい技術だけやればいいってホントに思います。
そのほうが楽しいし上手くなれるし。
それはワガママではなく、売り出し方的に優れてるものですし、やりたくないことはやんないほうがいいです。
髪結い髪結わずではなく、髪結ったほうがいいですよね。
職人なんだから。
いろいろやらなきゃいけないのはオーナーや社長などの運営側であって美容師じゃないと思うんですよね。
ほんと。