こんにちは。
旅人美容師こと桑原淳です。
僕は約1年と半年間世界を旅していました。
人々の髪を切りながら。
長い長い旅。
終わらない旅。
それもいいと思ってた。
でも、ついにその日はやって来た。
僕は16日の朝8時にバンコクドンムアン空港から成田空港に到着した。
約1年と3ヶ月ぶりの帰国。
ただいま、日本。
今日は旅を終えて・・・ということを書きたいんだけど、どこどこの国で誰とあって何がありました。って言うことは書くつもりはない。
じゃあ何を書くのって?
それは読んでみてください。
長いです。
最初に日本を飛び出した2014年4月15日、僕は日本を離れる寂しさも感じつつ、これから見るであろう広い世界にわくわくせずにいられなかった。
どんなことが待ってるのか、どんな人と出会うのか・・・。
想像してもピンとこないことのほうが多かった。
「行ってみればわかるさ」
もともとの楽観主義っぷりを発揮して、旅に出る事に不安はあまりなかったと思う。
母親が30年前に買ったボロボロの赤いバックパックに服とハサミとカットクロスを雑に詰め込み、WAXで髪の毛をセットし僕は成田空港を後にした・・・。
「世界は広い」
そんな事は最初からわかっていた。
物理的な距離にしても、日本を旅したことがあるからこそ、地球儀を見れば簡単に想像できた。
そんなことをわざわざ確かめるために世界に出るんじゃない。
僕の目的は「人に会うこと」だった。
日本にいれば、もちろん周りには日本人しかいない。
話す言葉も、考えることも、来てる服も、食べるものもだいたい同じ。
僕と同じ日本人。
20歳すぎのある日、ひょんなことから僕は海外に興味を持った。
絶景、文化、食べ物、それももちろん興味の対象だったが、僕の中では違う国に住む人々の生活や、顔や、言葉、考え方を知りたかった。
そのための僕の手段はヘアカットだった。
美容師として働いていたからヘアカットだったのではなく、人と関わるために何ができるかを考えたら美容師としての技術を活かすしかなかった。
僕にはそれしかできることがなかった。
ブログもやってみようかな?なんて思い、タイトルを「旅人美容師の1000人ヘアカット世界一周の旅」なんて長ったらしいモノにした。
そうして始まったヘアカット世界一周の旅・・・。
行き先はどこも魅力的すぎてなんとなくしか決まらなかったから“とりあえず西を目指そう”とだけ決めていた。
新しい街に到着し、次の行き先を決める。
まさに行きあたりばったりの旅。
先のことなんて何も一つもわからなかった。
「俺は髪を切りたいんだ!」
英語もろくにわからないオッサンに、必死に説明をした。
「髪が切りたいならあそこの床屋にいけばいいじゃないか」
世界を周って人々の髪を切るなんてアイデア自体理解されるものでもなかった。
そんなことして何になるの?
人々の表情や、言葉からはそんな気持ちが見え隠れした。
人との出会いを求めてヘアカット・・・確かに意味がわからん。
それなら単純に話しかければいいじゃないか。
自分でもそう思った。
ものを売りつけてくるオバサン、タクシーに乗れとしつこいオヤジ、金をせびってくる子供たち。
どこの国に行ってもそんな人ばかりだった。
だって日本ほど裕福な国なんてないから。
みんなからしたら僕は金持ちな国から来た外国人だ。
「これを買ってくれりゃ、それでいい。」
その人との縁なんて、金を払って一瞬繋がるだけのもの。
後にはかすかな思い出以外、何も残らない。
それが日本人の海外旅行。
それで「この国の人はよかった。この国の人は嫌だった。」と印象が決まってしまうのは仕方のないことかもしれない。
でも、僕はそれがなんか嫌だった。
もったいないとさえ思った。
どうせ行くなら・・・いつもその気持ちが心のどこかにあった。
髪を切り始めると人々の様子はおもしろいように変わった。
“外国人”である僕にはそれが手に取るようにわかった。
ただの興味本位かもしれない、ただ珍しいだけかもしれない。
だけど、僕はそれでよかった。
ただの観光客、ただの日本人ではなく、一人の人間として見てくれてると感じることができたからだった。
それが何より嬉しかった。
ただ髪を切るだけ。
相手にとってはそうだったかもしれない。
でも、例えそうだったとしても、こうして出会ったことにより、その国に生きる人たちの生の姿を見れた気がしたんだ。
それを僕は望んでいた。
路上で髪を切る。
美容師的な目線で考えると、自分の最大の力を発揮できる環境ではもちろんない。
ドライヤーもない、髪も洗えないのに、完璧なんてそこに求められない。
そんな中でも切りたいと言ってる自分。
切ってくれと言ってる人々を前に正直葛藤もたくさんあった。
“そんなことに意味はない”
それはただのパフォーマンスかもしれない。
それでも良かった。
僕に今まさに髪を切り落とされてる人、それを囲む人々は本当に楽しそうだった。
意味がないと思われても、その人がその一瞬だけでも楽しめたなら、それでいいと思えた。
そうして毎日のように髪を切り続けた1年半の世界一周の旅を終えてみて、今思うことがひとつだけある。
「自分が生きてることの素晴らしさを知る」
それを知ることは、すごく大切だって気がついた。
現代の物や価値観があふれる日本でそれを知ることは、実は簡単で難しいことなのかもしれない。
生きるの反対は死ぬ。
物事には必ず裏と表があり、それぞれに意味がある。
生きることにも意味があり、死ぬことにも意味がある。
人はいつか死ぬ・・・そんな事はわかってる。
そこに意味を見出すことなんて死んでみなきゃできないかもしれない。
僕もそれはよくわからない。
ただ、今これを読んでいるあなたは現在進行形で”生きている”
今、生きているあなたは、生きることの素晴らしさや意味を考える事ができる。
僕は旅に出る前は、デカイこと言おうが、大きなミスを犯そうが、別に死なないと思ってた。
実際死んでいないから生きていたし、身近な家族も友達も生きてることが普通だと思っていた。
でも僕は旅をして、3人の大切な人を失った。
家族と、旅仲間。
突然それはやってくる事を知った。
この子をカットした広場は、仲良くなった子供たちのたまり場だった。
多くの見物人に囲まれ、何人も何人もカットした。
半年後、その広場は大地震で崩壊した。
みんなの行方はわからない。
旅をしてても楽なことばかりじゃなかった。
辛い思いだってたくさんしてきた。
それは言葉にできるようなものじゃない。
だからこそ、僕は生きる意味を考えるようになった。
世界を旅をする意味。
美容師としてハサミを握る意味。
「なぜ僕は・・・」
自問自答を繰り返し、たくさんたくさん考えてきた。
人は生きていく中で、いろんな人と出会い、いろんなことを考える。
自分がその場所で生きる意味を探そうとする。
でも、それが簡単に見つからないことはみんなわかってる。
人には言えないこと。
たくさん我慢しなければいけないこと。
人はいろんなことを背負って生きている。
だから悩むし、だから迷う。
もがきながらも生きていく。
旅をして、世界の人々と話し、僕は少し考えが変わった。
生きる意味や素晴らしさを少しだけかもしれないが見いだせたような気がする。
僕の旅を応援していてくれた人、これを読んでくれている人に伝えたいことがある。
それは、生きてる今を全力で楽しもう。ということ
子供のときは楽しかった。
二十歳の時は楽しかった。
いつだって楽しかった思い出は過去のもの。
過去は変えられないし、未来のことはなんにもわからない。
明日はもっと楽しいなんて保証はどこにもないし生きてる保証さえもない。
だからこのブログを通して、今を楽しむことの素晴らしさを伝えたいと思った。
自分が正しいと思ったことを、人が認めてくれなくても。
自分がかっこいいと思ったものを、馬鹿にされても。
自分の信じた道を進むこと。
“自分を信じて挑戦し続けること”
今日という日をいつか”楽しかった1日だった”と言うために・・・。
たまに悩んでも。
たまには悔しくて泣いたとしても。
たくさん笑うこと。
生きることの素晴らしさを知るために。
僕には「バカげた夢」があった。
それは世界を旅して出会った1000人の髪を切ることだった。
正直無理だと思った。
でも、やったこともないのに、挑戦してもないのに、それは無理だと言いたくなかった。
「夢は願うもんじゃなくて、自分で行動して叶えるもの。」
そう信じて毎日のように髪を切ってきた。
毎日本当に本当に楽しかった。
毎日誰かと笑ってた。
そうして1年半もの時間をすごしてみたら、あまりにもバカげてる僕の夢は叶っていた。
誰に言われて始めたことでもない。
辞めたければいつでも辞めれた。
不可能を、不可能にするのはいつも自分。
バカげてる夢を追うあなたへ。
「いつかこれがやりたい」「いつかあそこに行きたい」
夢を語るあなたのそんな言葉は人に気安く笑われる。
周りの人は応援してくれないかもしれない。
だけど、自分に負けてくれるな。
お前には無理だと言われても。
そんな事無意味だと言われても。
それでも、負けてくれるな。
自分を信じて突っ走る。
その先に何があるかは誰もわからない。
誰も知らない。
やればわかるさ。
It’s up to you.
それはあなた次第。
人生はあなた次第。
僕はこの世界一周の旅を終え、1301人のヘアカットの思い出と共に次のステップに行きます。
旅は終わったけど、人生の旅はまだまだ続く。
次のステップ。
それは自分の場所を作ること。
東京のどっかにイカした家みたいな美容室をつくるのが夢です。
どこの国籍の人も来れる場所。
ビールが飲める場所。
髪を切らなくとも遊びにこれる場所。
そんな僕の家をつくってあなたを招待します。
その第一歩として、高円寺の美容室を借りて今月20 日から働き始めることにしました。
仮住まいです(笑)
この旅と同じように、いろんな人と毎日笑って、今を楽しめる人生にしていきたいと思ってます。
まだまだこのブログは続きますが、これからも暖かく見守ってやってください。
とりあえず、今まで読んでそして応援してくださっていた方々。
本当にありがとうございました!!
関連記事→世界を旅して1000人の髪を切ったらこんなことが待っていた
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