手づくりで美容室をオープンさせることはできるのか!?高円寺の美容師が検証した話。

“僕がたった7万で、どのように美容室を作ったか”

後半突入です。

前半まだ読んでない人はまずこちらをどうぞ↓

後半も写真多めでちょいと長いですが、ぜひ見ていってください。

2月中旬から始めた怒涛の改装劇。

僕の作戦はざっくりとこんな感じでした。

《元個室エリア→リビングエリアに》

色は茶色で温かい感じに。木と枯れた草とアンティークで統一。

《椅子と鏡の美容室エリア→世界観あふれる美容室な感じに》

色は白で世界を感じられるような空間に。白い壁に世界地図を書き、緑をたくさん起き、世界の本から漫画まで、白の中にいろいろな色を。

《シャンプー台エリア→寝室のように落ち着いた場所に》

黒と間接照明でシックな雰囲気を。オレンジのライトでアートとギャラリースペースを照らす。

 

これを全体にバランスを見ながらちょっとずつ変えていく作戦で、3月頭ころにはだんだん形になっていってました。

大きい物、目立つものから手がけ始めたので、この頃から小物や細かいところを作り始めました。

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(深夜にくしゃくしゃになる美容室)

実は内装、モノの位置などの殆どを決めたのは僕でした。

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もちろん話し合ったりもしましたが、最終的な決定そして実行したのもだいたい僕。

そんな感じで破壊と創造を繰り返す神みたいなことをしている中、ナオミ・キャンベルはあるものを作っていました。

キャンベル自身が考えてすべて作ったもの。

まずはその紹介を。

その1 ビールのプルタブ照明

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これはなんと缶ビールをプシュッとやるときのアイツで出来ています。

よく車いすになるとかなんとかで集めてる人もいますよね。

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アイツを一つ一つペンチで切ってつなぎ合わせるとこんな事になるんですね。

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そりゃあもう気が遠くなるほどの地道な作業でした…。

またやれって言われたら、ちょっと無理かもしれないですね…。

ま、僕なんもしてないんですけどねwww

最終的には針金で固定して、ライトにかぶせて完成。

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この総制作費はなんと100円。

百均で買ったペンチのみです。

制作期間2週間ほど、あいた時に。

ちなみにアイツをどうやって集めたかというと・・・

店でビール飲んでいった人に協力してもらったり、ビール好きな友達にとっといてもらったりしたので実質ZERO円です。

「プルタブくれww」

こんなことばっか言ってました。

なんという乞食系美容師。

お次は写真をかけるアミアミです。

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シャンプー台の後ろの壁に写真を飾ろうと思っていて、その写真をかけるために針金でアミアミを作ってくれました。

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こちらはハリガネ(貰い物)、接着剤100円、釣り糸100円の総額200円。

なんと世界地図と同じ値段です。

安くてビビります。

「どや」

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「やってやったで」

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と言わんばかりです。

その頃、僕はというとハリガネでハサミを作っていました。

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制作費はもらいもんなのでタダ。

時間は飲みながら2時間ほどで作っちゃいました。

最初は看板にするつもりだったけど、今は飾ってあります。

小物はこんな感じでどんどん増えていきました。

ホームセンターと同じくらいの頻度で百均とリサイクルショップも行っていたのですが、ある日高円寺にある家電王という電気系リサイクルショップに何故かおいてあった地球儀を1200円で見つけたので即買いしました。

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(The地球儀)

なんか地球儀って改めて見るとメッチャダサいんですよね。

こんな鮮やかなブルーに「インド」とか「南極」とか日本語で書いてあるとかあまりカッコよくない。

だからその地球儀を塗ってやりましたw

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そして好きな歌の歌詞を白で書いてみたらなんだかGANTZみたいになったから飾っていたのですが、だんだん行き場がなくなっていき吊るされる運命となりました。

これはこれでアリかな。

1200円と、ペンキ代30円くらいかな。

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(左からGANTZ、ハリガネ、シンガポールで買って壊れた時計2700円、バケツ100円)

この頃の僕はペンキ塗りの魅力に完全に取り憑かれていました。

もう美容師やめて塗装屋か大工やろっかな?くらい。

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もうなんでも塗り塗り。

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服とかバッグとかかけるポールみたいなやつも1000円で売ってたので塗り塗り。

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楽しすぎます。

ペンキ大作はもうひとつあります。

実は僕が美容室をやっているところは奥にシェアオフィスがあるんですよね。

そのため通路にもなっているんですが、そこに印がないので「なんかペンキで横断歩道みたいなのささっと書いてくれない?」とオーナーさんから言われていたんですね。

なので・・・

ビフォーはこんな感じ。

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まずは靴を脱ぎます。

もちろんビールを飲みながら、靴を脱ぎます。

ちなまに足のサイズはトゥエンティエイトです。

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そしておもむろに足の裏にペンキをつけてみます。

ネチョ

ペンキの感触がなんとも言えません。

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そして、悲しいくらいへっぴり腰になりながら歩いてみます。

ペンキは意外と滑るということを27歳にして初めて知りました。

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目印完成。

そうなんです、横断歩道じゃなくて、足跡で目印を作ってみました。

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(深夜帰宅し、足の裏カピカピのまま寝てしまったのはナイショね)

そんなこんなでリサイクルショップで小物を買ってきたり、細かいところを作り込みながら時は過ぎていき、3月最終週を迎えました。

あと数日でUp to Youオープンの4月1日を迎えてしまいます。

やばいです、終わる気がしません。

だんだん出来てきたリビングスペースも、まだソファの上のところの壁や配線が剥き出しになっているので夜な夜なそこを改造していきます。

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材料は主にこの4種類。

・ホームセンターで買った木
・ご自由にどうぞのやつ
・公園で拾ってきた木
・道に落ちてた木

これらをペンキやステインで色を付け、ネジで固定していきます。

制作費はおそらくホームセンターで買った木が2000円ほど。

ネジやペンキで700円ほどでしたね。

オープン数日前、福島から大工の友達がやって来ました。

なんと助っ人として!

マジありがとうございます。

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営業後の夜しか僕はできないので、非常に助かりました。

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しかも手作りで外用にベンチも作ってくれまして!

3000円位!

僕はそのベンチにせっせとステインを塗りいい感じに。

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完成は最後に写真があります。

さて、次は時計です。

僕の店には時計が4つあります。

よくホテルにあるじゃないですか、世界の時間。

あれをやりたかったんですよね。

時計はダイソーの300円のやつ、リサイクルショップで500円のと600円のを仕入れてきました。

あえて全部違うデザインに。

色だけは白のペンキで統一しました。

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針金でぶら下げたら完成。

世界地図の上ににバーンと世界の時間。

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(僕の好きな街KoenjiとBangkok, Lisbon, Las Vegasをチョイス)

これで美容室エリアも世界観が結構出てきました。

オープン3日前。

いよいよ最終段階です・・・と言いたいところですがまだやることがたくさんです。

家に帰れません。

深夜まで残り、世界で集めてきた500個ものビールの蓋を飾るやつを作りました。

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本棚を作った時に余った白い木の板に、東急ハンズで買ってきたアクリル板をくっつけて、そこにビールの蓋をぶち込んでみました。

そしてとなりには世界の時計の色を塗るときに外したガラスにボンドで蓋をくっつけたものを。

・・・こうなりました。

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世界地図の下に世界のビールを。

白い板はもともと貰い物なので0円

アクリル板700円ほど

ボンド100円

ビールの蓋は世界各地で集めてきた「ゴミ」なのでこれもZERO円です。

塵も積もれば山となるとかいうけど、ゴミもここまで集まれば立派な飾りになりますね。

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実はもうひとつ僕は世界各地で集めていたものがあります。

それはコイン。

これも完全なる思いつきだったんですが、お会計の皿に敷いてみることにしました。

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実はこれ凄そうに見えるけど超簡単です。

100均で買ってきた木のトレーチックなものにステインを塗り、焦げ茶にします。

それにコインを敷き詰め、その上に同じく100均で買ってきた下敷きを敷き、四隅を接着剤で止めます。

以上。

コインは外貨なので日本での価値は0ということにして、0円。

トレー、下敷き、接着剤などで220円くらいでしょうか。

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これはオススメです。

お会計の時「あれ、おつりどこどこ」っていうお客さんとのやりとりが楽しめます。(笑)

さらにあまったコインを足元に貼り付けてみました。

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Up to You

意味はあなた次第…。

オープン2日前、もう完全なる寝不足です。

普通に死んじゃいそうでした。

夜営業が終わり、あれこれやりながらセット面のところにUp to Youの文字を書きました。

白い壁に黒いスプレーをしてみたけどなんか違う・・・

だけどミスった時にはすでにスプレーはなくなっていて、店も閉まってる。

万事休す。

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だけどそこは必殺ペンキで上塗りし、何とかなりました。

もう塗装屋に転職決定です。

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(ついでに空き瓶ぶら下げてみた)

あれこれやっていたのですが、夜中2時に力尽きてソファで爆睡。

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そして迎えたオープン前日。

この日は休みにしていたので昼からあれこれ作業を始めました。

「明日オープンかよ…」

本当にあっという間の1ヶ月半でした。

でも僕がアホでした。

看板を作ってなかったのです笑

オープン前日にまさかの看板作成に取り掛かりました。

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初代看板はこんな感じでした。(今は作り直した)

なんか道標みたいなイメージで。

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全部拾ってきた木と、ご自由にどうぞのやつで作ったのでかかったのはネジ代くらいです。

20円とか。

Up to Youの文字は枝を折り曲げて接着剤で。

さらに余ったビールの蓋でハサミの看板もつくりました。

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こちらもご自由にどうぞのやつにボンドで貼り付けただけ。

ゴールドの蓋だけで作ってみました。

あっという間に時間は過ぎていき、気付いたらもう夜遅く…

信じられないと思いますが、これオープン前、夜中12時の光景です(笑)

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このあと結局2時ころまで作業と片付けをし、帰宅。

僕は力尽きてぶっ倒れるように寝たのですが、キャンベルは翌日のオープニングパーティーの準備のため4時まで起きていたそうです。

こんな感じで最後はかなりドタバタしていましたが、何とかオープンに間に合うように作り終えることができました・・・

というわけで死ぬほど長くなりましたが完成形をご覧ください。

1ヶ月半の集大成がこちらです。


★ビフォー

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image (これは2月15日のやつ)


★アフター

鏡とイスだけだった美容室エリアが、広い世界を感じられる?空間に。

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シャンプー台のところも、黒い空間にアートっぽいものと明るすぎない照明を。

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元個室が、木の温かみがありくつろげるリビングスペースに。

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ガランとしていた棚のところには世界地図と本棚を。

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こんな感じで何とかオープンを迎えることができました。

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ちなみにオープン初日の夜にパーティーによってこの美容室は一度崩壊しました(笑)

その時の記事はこちら→ 世界を1年半旅して”全財産10万だった男”が帰国3ヶ月後に美容室を独立開業したらこんなことが待っていた。

まあ泣きましたよね(笑)

後日談ですが、オープンしたのちにまた看板を新しく作ったり、鏡の位置を変えたりとチラホラ手を加えて今はこんな感じになってます。

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(ベンチが光る)

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ギャラリースペースを増設。

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鏡を二分化しました。

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まあまた2ヶ月、3ヶ月とたったら様子が変わっているかもしれませんね。

今回この長ったらしい記事を書くにあたり、本当に使った金額はいくらだったか計算してみました。

記憶が曖昧なところもありますが、6万5000〜7万円と見てほぼ間違いないと思われます。

すべての写真を載せたわけじゃないので、金額も載せてないものもたくさんありますが・・・。

なぜこんなに安くできたかは幾つか理由があります。

まず、椅子やシャンプー台などの高価なものは元々あったものを使うことができたこと。

居抜きのような形だったので、それは本当にラッキーでした。

他には引っ越しシーズンだったこともあげられます。

街を歩けば「ご自由にどうぞ!」なんていう棚を見かけました。

それらを持って帰って分解してしまえば資材になるのでいちいち木とかを買わなくてすみます。

同じ理由でリサイクルショップにも多くのものが流れてきていたのでしょう。

安くていいものをたくさん手に入れることができました。

あとは、やる気。

安くしようとしてやっていたわけじゃなく、前編で書いたように当初の予算は50万だったのです。

それがなんと7分の1に収まったのは運が良かったからじゃありません。

壁の塗装も最初は業者に頼もうと思ってました。

本棚も買おうと思ってました。

だけど、「やるだけやってみるか」という気持ちで手を動かし始めたら意外と出来ちゃうことを知りました。

クオリティはもちろんプロには勝てません。

だけど、見せても恥ずかしくないくらいには出来たように思います。

結局、やるかやらないかなんでしょうね。

美容師という仕事柄なのか、ものを作っている時間はとても楽しくてあっという間に過ぎていきました。

自分の頭の中にあるイメージがどうすれば形になる日考える・・・そして実際にその手で作ってみる・・・。

本当に楽しかったです。

なんでこんな記事をあげようかと思ったかというと、やればできるというのを読者の皆さんに知ってもらえたらな〜という気持ちからでした。

素人の僕だって出来たんだから、センスいい人とかだともっとすごいもんをつくってしまうんでしょうね。

それに独立ってめちゃ金がかかると言われていますが、これを見てもそう思いますか?

きっとお金はかかるんでしょう。

でも普通にやらなきゃいけないなんてルールはない。

アイデアとやる気次第でどうにでもなります。

世界一周の旅に出るのもそうです。

準備に何十万もかける必要はない。

僕は3万で行きました(笑)

本当の節約ってこういうことなのかもね。

美容師だけでなく、自分の場所を作ろうとしている人には自分の手で作ることをおすすめしたいです。

だって思ったものが形になって、その場所で働けたら気持ちいいですからね。

死ぬほど長くなりましたが、これがなんかの参考になればと思います。

終わり。

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