美容院脳卒中症候群ってご存知ですか?
もし知らなかったらやばいかもしれません。
衝撃的なニュースです。
散髪が原因で脳卒中を発症した英国人男性に理髪店から損害賠償として9万ポンド(約1300万円)が支払われた。複数のメディアが13日までに報じた。
2人の子どもの父親であるデーブ・タイラー(Dave Tyler)さん(45)は、散髪から2日後、仕事の商談中に突然倒れ、病院に救急搬送された。その際に医師から、最近散髪に行ったかを質問されたという。
医師らは、洗髪の際に首を後ろへ反らせる姿勢によって動脈が圧迫され、その時にできた血栓が脳卒中を引き起こしたと診断。タイラーさんは3か月間の入院を余儀なくされ、退院後は歩行のために杖が必要となったほか、視力低下のため車を運転することもできなくなった。
タイラーさんの代理人は、2011年の訪店時に理髪店が頭部を適切に保護することを怠ったと主張。そしてこのほど、理髪店側が損害賠償の支払いに応じた。
なんと美容室のシャンプーが原因で脳卒中が起こる可能性があるのだとか。
損害賠償請求にまで発展したとしたら他国のことでも流石に無視できないですね。
ふとこんな昔話を思い出しました。
美容専門学生のときにある先生が授業中にこんな話をしました。
「先生はテレビの取材を受けることもあるんだよ。美容師のことや学校のことについて」
「この前こんな問い合わせが来たんだ…。”美容室のシャンプー台が原因で首を痛めて病気になってしまうのはホントですか?”ってね。」
「それで先生言ってやったんだよ。”うちの学校の生徒はシャンプーの授業で1時間くらい寝ることもありますが、病気になった子なんかいません!そんなのガセネタです!”ってさhahaha」
・・・hahaha
なってるやん!!
めちゃくちゃなってるやん!先生!!!
調べてみると、どうやら美容院脳卒中症候群ってものがあるのだそう。
本来キレイになるための場所である美容室なんですが、ほとんどの施術のときに行うシャンプーがきっかけで具合が悪くなってしまう方がたまにいるそうです。
その症状こそが「美容院脳卒中症候群」というもの。
症状の程度には個人差があるそうで、体を休めるだけで回復する人もいるそうですが重度の症状だと今回の事故の男性のようになってしまうそうです。
おもな症状
軽度の場合・・・
- 頭痛
- ふらふら、ふわふわとめまいがする
- 冷や汗がでる
- 首や後頭部に痛みを感じる
-
重度の場合・・・
- 手足がしびれる
- 意識の低下
- 吐き気がする
- 失神
なぜ脳卒中が起こるのか?
主な原因は「首を反らした状態で洗う」ことに関係があるのだそうです。
東京医科大学の医師によると、シャンプー台の上に首を乗せたまま後ろに反らす状態が長時間続くと血管内に血栓ができやすくなるのだそうです。
その結果脳卒中を起こす恐れがあると。
首の両脇には、脳に血液を運ぶ椎骨(ついこつ)動脈というものがあり、首を後ろに強く反らすと血管が圧迫されて血流が一時的に低減してしまうそうです。
その結果、血小板の流れが滞るので血栓ができるそうです。
シャンプーが終って首の位置を元に戻して血流が回復すると、せき止められていた血液が一気に流出し、脳内の枝分かれした毛細血管内に詰まることがあるのだと・・・。
マジですか。
美容室脳卒中症候群は、スタンダール症候群とも言うそうです。
スタンダール症候群は、高い位置に飾られた彫像や壁画などの芸術作品を長時間にわたって見上げながら鑑賞している時に起きやすいそうです。
とりあえず首を後ろにしてて血の流れを止めてしまうことがいけないようですね。
血栓ができやすいのは、大量に汗をかいて血液中のミネラル成分の濃度が高まったり、5分以上も首を反らしたままでいるため、血流が急激に悪化する場合だそうです。
5分以上って一体何分だよって思って調べてみたらわずか15分でした。
15分寝たままで、首をヒョイっと起こすとできた血栓が毛細血管をつまらす…と。
Up to Youもバックシャンプーなので、恐ろしすぎます。
5分以上寝かせるシチュエーションを考えてみた
普通にシャンプーする場合っていうのは襟足を洗うときにクビを持ち上げますよね。
大体1分〜2分に1回はヒョイっと持ち上げるような気がします。
その一瞬で血流が良くなるのかはわからないのですが、すくなくとも寝ているわけではないので改善はされるのでしょう。
ということは、普通にシャンプーをするぶんには寝たままってほとんど無いということになりますよね。
過去の経験上5分以上寝る場合ってカラーをした場合、トリートメントをした場合、ヘッドスパをした場合の3パターンな気がします。
シャンプー台でカラーをした場合
思ったより髪に色が入らなかったな〜みたいなときに色を足す事は稀にありますよね。
もしくはメンズの髪が短い人などで、ちょびっと色を入れたいんだよね…!みたいな人にもやったことがありますね。
15分とまでは言わなくても、5分くらいは寝たままになると思います。
でも、これはあまりないケースかも。
トリートメントをした場合
なん種類かのトリートメントをシャンプー台でチャッチャとつけて放置した場合、5分はいくかもしれません。
パルッキーなどで蒸気をあてるような感じで施術をした場合、もっと時間が経過する可能性がありますね。
こだわっているところだとそういう所にむしろ時間をかけるのかもしれません。
施術のやり方によっては危険かもしれません。
ヘッドスパをした場合
数年前から流行っているヘッドスパ。
こだわっているところでは夢シャンと呼ばれるフルフラットのもので完全に寝た状態でヘッドスパをしたりするので大丈夫なのかも知れませんが、バックシャンプーでしてるところもあると思います。
ちなみに昔働いてたとこはしてました。
マッサージなのでヒョイヒョイ首を動かすわけはないですし、5分以内に終わるとも考えられません。
長くなればいくらでも長くなると思うので、これは危ないのかもしれないですね。
思い当たる節がある人も多いと思います。
ということは・・・
【美容院脳卒中症候群はわりとどこの美容室でも起こるかもしれない】
という事のようです。
しかし美容室で脳卒中になったという人に今まで会ったことがあるわけでもなく、聞いたことがあるわけではないので確率としてはかなり低いのかもしれません。
でも実際にこういう事故が起きている以上なにか対策をした方がいいのかもしれませんね。
1300万円の損害賠償金を払う・・・とか考えるのも怖いですが、何より自分の働くお店でお客様が亡くなったなんていう事になるのが1番恐ろしいです。
脳卒中について知るいい機会かも
僕のおじいちゃんは脳卒中でぶっ倒れて半身麻痺になってました。
亡くなるまで10年以上家からあまり出ることもできず、やりたかった一人旅もできず、すごく悔やんでいたみたいです。
脳卒中で亡くなる人は、1950年~70年ごろは人口10万人あたり180人と多く、死亡原因の第1位という恐ろしい病気だったそうです。
ですがその後脳卒中死亡率は低下し、現在は人口10万人あたり110人前後で「がん」「心疾患」に次ぐ死亡原因第3位なんだとか。
ところが、亡くなってないだけで治療を受けている脳卒中患者さんは、1950年〜1970年ころに比べ4倍以上に増えているそうです。
後遺症は僕のおじいちゃんの様に麻痺を残したり、ひどい人は寝たきりになります。
65歳以上で寝たきり状態の人の38%が脳卒中後遺症によるものなんだそうです。
脳卒中は年配に多い病気とのことで、高齢のお客様には特に気を使ったほうがいいのかもしれません。
ご存知のとおり現在日本はすごい勢いで高齢者人口が増えていますよね。
2025年頃までにはさらに増えていくらしく、やっぱりだんだん他人事ではなくなっていくのかもしれません。
脳卒中は予防が大切らしい
流石に顧客の健康管理とかできるわけがありませんが、自分自身もなるかもしれない…なんて考えたら予防はしといたほうがいいのかも知れません。
調べてみると肥満、運動不足、睡眠不足、喫煙、多量飲酒(1日1合以上)、過労・ストレスの蓄積といった生活習慣の問題、あとは遺伝的な体質や加齢も脳卒中のリスクとされています。
加齢とかは体質は仕方ないのかもしれないですが生活習慣はかえていくよう努力した方が良さそうです。
タバコはやめたけど酒ばっか飲んでるし…
美容師の方だと過労、ストレス、睡眠不足あたりは普通に当てはまりそうですね。
ぶっ倒れてしまったらホントに何もできなくなってしまいます。
家族がそうだったんで、なんかわかります。
自分もいろいろ改めようと思いました。
最後に。
今回の事故について、僕の店もバックシャンプーですし、過去に働いてた店でバックシャンプーでヘッドスパをしてた経験もあるし、身内が脳卒中になったこともあったので、あんまり他人事には思えません。
お客さんが脳卒中になっちゃった!とかマジでシャレになりませんよね。
高齢化社会だし、本当に普通の美容院で起こり得る可能性があることみたいなので、まずはいろんな美容師の方に知ってもらいたいと思って記事にしました。
というわけで、これで終わります。
そんな事故が日本で起きませんように・・・。