美容師引き抜き問題…
多分ずっと前からある問題。
そんなの僕には生涯無縁だと思ってました。
だって人雇わないわけですし。
僕は絶対人雇わない主義です。
雇ってる会社がどうという話ではなくて、僕自身「人の人生まで背負えないので無理っす」という状態であって、なにより自由でいたいわけです。
雇わなければ引き抜きも何もないですし、そもそも『うちこない?』なんて声もかけるわけがないですよね。
だから引き抜き問題は僕には関係ないしどっちでもいいなーと思ってたんですけど、なんかいきなり火の粉っぽいのが降りかかってきたで、書いてみることにしました。
まあ簡単に言うと僕が某美容室から美容師を引き抜いたと勘違いしてらっしゃる。
雇ってないのでまさに鳩が豆鉄砲食らった状態です。
その美容師さんは退職する際に上司にボロカスに言われたらしいです。
「うちみたいないい会社辞めて、あいつのとこなんか行ってもどーのこーの」と。
「美容師はそんなに甘くねえんだぞ」「働くならちゃんと働け」とかまで言われたらしいのですが、それって僕が甘ったれた働き方をしてる美容師という意味なんでしょうか。
一応経営者でもありますし、赤字にしたことは一度もないし、100人以上が名を連ねる美容師グループの代表でもあるのですが甘ったれてると?
独立したことが無いばかりか、そのサロンでしか働いたことがなく、他の美容室事情も知らないという方に言われたらしいのでちょっとびっくりしました。
流石にちょっとオコです。
文句言われたからじゃないです。
それを僕には何も言わず、その元スタッフを責めまくるからです。
「文句あるのなら僕までどうぞ」
って感じです。
さらに送別会禁止令と今後サロンに出禁令も言い渡されたそうです。
心狭すぎないすか(笑)
とか言って僕も心狭いので、引き抜き問題についてブログに書いてみることにしました。
美容師は辞めるときが一番大変
美容師コンサルやってると、大体やめるときの相談が来ます。
「辞めたいんですけど…」「辞めることが決まって、次どうしたら…」
みたいな感じです。
不用意なことは言わず、まずは何故やめたいのかを聞くようにしてます。
聞けばまあ人それぞれで理由は色々あります。
サロンや当事者の事情で当然変わってくるのですが、一言でいえば“合わない”って事なんですよね。
お金だったり時間だったり人だったり。
就職したときは良かったわけですし、むしろ自分でそのサロンを選んで入ってきたわけですよね。
でも入ってみたら違ったという現実があり、辞めるという選択に至る。
でもそれってなんか、仕方無くないかな?って僕は思います。
やってダメなら違う道を選ぶのは当然のことじゃない?と思うからです。
少しくらいはあるであろう試練に耐えることもせず辞めるのであれば、それはその人が悪いかもしれません。
でも辞めてく直接的であり最大の理由は“サロンのやり方と自分の理想が合わなかった”ということです。
逆に言うとどんだけそのサロンが他からブラックだと言われようが、働いている人が納得してたりやりがいを感じているのであればそれでいいわけです。
働いている一人ひとりがココが本当にやりたいことをやれる場所で、自分に合っている場所だと思えるところであれば。
結局のところ、やめる人は”そう思えてないから”辞めるってことですよね。
美容師こそむしろ移籍すべきでしょ
自分のやり方とか理想にそぐわない…
それなら見切りをつけて、より高みを目指すべきなんじゃないでしょうか。
なぜなら美容師は職人と呼ばれるような仕事です。
職人って“自分の腕一本で生きてく”みたいな人のことを言いますよね。
言い換えれば、腕さえあればどこでも生きていける人たちってことになりますよね。
労働環境が悪いのであれば、より良いところに移籍するっていうのは美容師であれば可能です。
サッカー選手だってそうではないですか?
選ぶ基準は年俸(お給料)かも知れないし、オフの日数かもしれないですけど。
美容師は労働環境を選べるんです。
でも現状選ばない人が多いですが…。
なんでかというと辞めると会社から文句言われるからですよね。
辞めたスタッフの将来に口出す人は、フラレた彼女にもそうするの?
なんでやめたのかっていうと…さっきも書いたけど”辞めた人からしたら合わなかった”っていうだけで、それ以上もそれ以下もないと思います。
やめた人は当然生活があるのですぐ次の居場所を探しますよね。
そんな時に頼るのって友達とか先輩とか知ってる美容師だと思うんです。
求人サイト見る人もいるかもしれないですが、僕も辞めて再就職先を探してるときは先輩を頼りました。
元々一緒の店舗で働いていた先輩が辞めて別の店に移っていたので、その先輩に相談したところ僕も入れてもらえる事になったんです。
それが僕の美容師人生2店舗目を決めた理由でした。
僕のケースって引き抜きなでしょうか?
引き抜きだとしても、それってだめなことですか?
僕はそうは思いません。
先輩も僕も自ら選択してその店へ入ったわけですし、そもそも辞めたい理由があったから辞めたわけです。
それってカップルと一緒じゃないですか?
付き合うときは同意、別れるときは揉めるもんです。
でも別れる理由ってどちらか、またはお互いにあるわけですし、その原因を解消しない限りはやり直しても続かないものです。
そうして別れた彼女だっていずれまた恋をします。
新しい好きな人とデートもしますし結婚もします。
もしですよ。
あなたがそういう場所に出くわしてしまったとしたら、どうしますか?
怒り狂いますか?
「俺のもとを離れて、そんなやつのところに!!!!」
って言いますか?
それで、殴りかかりますか?
だとしたらどちらをブン殴りますか?
元カノ?その新しい彼氏?
まあまあどちらにせよですよ。
どちらをぶん殴ってもですよ。
「超絶ダセえな」
僕ならそう思います。
辞める選択をして、生活のために別のサロンで働こうとしてるスタッフをせめるのはそれと何が違うんですか?
一緒だと僕は思いますけども。
辞めたあとのサポートしてくれないなら何も言わないで
面接を受けるという選択をしたのは個人。
それを受け入れると判断したのはサロンや会社や社長。
その合意の上で雇うわけです。
合わずに結局やめることになったとして、サロンはその人の今後の生活をサポートしてくれたりしませんよね?
社会保障だってしてくれてないところもあります。
退職金もださない。
それならそれでいいと思います。
でも、だとしたら「その後の行動に一切文句は言ってくれるな」
と僕は思います。
だってそうじゃないですか?
言う権利とかないです。
もし文句言うなら雇った責任をとって、辞めたあとの保障もちゃんとしてほしい。
一時的にでも従業員の人生を背負うのであれば、無責任な事はいわないでほしい。
それは社長だけではなく上司とか、スタッフも同じだと思います。
それができないなら、辞めたスタッフの将来について口挟まないべきだと僕は思います。
辞めてく美容師を減らさないと繁栄はない
僕みたいな個人店を除いて、ブランド大型サロンはどこのサロンもアシスタント不足だと言われてます。
専門学生も減っています。
求人したって来ないっていうのが現実です。
普通に考えると、人が入ってこないのであれば出てくのを防ぐしかないわけなんですが、一体どれほどのサロンがそこに目を向けてるのでしょうか?
辞めてくスタッフが悪いってたしかにそういう部分も少なからずあると思います。
でもホントにそれだけだと思ってますか?
今の学生がサロンに求める条件は10年前とはがらっと変わっています。
僕が学生だったときってカッコイイとかオシャレとかでしたが、今は働きやすい環境、まともな給料、休みとかの方が重視されているというデータがあります。
そういう世代は甘ったれてるのでしょうか?
僕はそうは思いません。
生きた時代が違えば価値観も感覚も変わるからそう感じてしまうかもしれないです。
でももし甘ったれてると感じたとしても、受け入れ先である美容室はそれさえも受け入れなければいけないと思います。
一昔前と違い、今はスマホでいくらでも情報がえられますし、他のサロンや美容師との交流だって簡単に作れる世の中です。
美容師が働き方を選べる時代であり、嘘は隠し通せない時代です。
他にいいところがあればいくらでも流れます。
それでも甘ったれてると一蹴しますか?
無下に扱いますか?
5年10年後の美容業界を作っていくのはその子達です。
つまり5年後の10年後も同じようにサロンを繁盛させるには、若い力が必要なのは少し考えたらわかると思います。
それでもブランドを守るために変化しないという選択も正しいかもしれません。
わかりません。
僕みたいな辞めたやつに優しくしたい甘ったれと、自分のサロンが1番正しいと言って辞めてく子を罵る美容師と、どちらが正しいかもわかりません。
でも僕は1年後でも5年後でも10年後でも笑っていられる自信はあります。
そういう働き方を自分で作っているからです。
辞めた美容師にも人権を
僕は金銭的な事や精神的な事で辛い思いをして美容師を続けたいけど美容師をやめていく子をサポートしたいという気持ちがあります。
数年アシスタントやって辞めた経験があるのでわかるのですが、結構どうしたら良いがわからなくなります。
スタイリストになれてない=仕事にならない
美容室での教育はその美容室で働いてないと受けられないもので、辞めたらゼロになります。
技術を体が覚えていても、誰もそれを認めてくれないのです。
だからまた数年同じように給料が低いまま働かないといけない。
違うサロンでイチから”そのサロンのやり方”を学ばなければならない。
「そんなの嫌だ」と美容師という仕事を辞めていく人が後を絶たないなかで、僕はそれを変えたいと思ってます。
世の中を変えたいとかではないです。
全員は無理です。
身近にいる誰かに協力できるのであればしてあげたいというくらいのものです。
カットを教えられる人が、そういう辞めた美容師の背中を少しだけ押してあげればスタイリストとして活躍できる場を選ぶことができて幸せになれると思うからです。
美容師やってるならやっぱ髪きりたいじゃないですか。
髪切って、ちゃんとお金頂いて、服買ったり遊んだり貯金したりしたいじゃないですか。
数年アシスタントして頑張ってきた子ならあとちょっとだけ誰かが手伝ってあげればそれができるんですよ。
誰もやらないから僕みたいな甘ったれが出しゃばっでやってみようと思ったんですが、その背中を押す行為がダメなこと?
それが引き抜き?
笑わせんじゃねーって感じです。
僕は美容師辞めたくなかったけど、一時期辞めました。
美容室で働くことが精神的に無理になったからです。
嫁のキャンベルも某有名美容室で働き激務の末ぶっ倒れてマツエクに転職した過去があります。
「あとちょっとでスタイリストになれるのに…」
そう思うと頑張らざるを得なかったのですが、限界というのはいずれくるものでやっぱ無理でした。
美容室辞めてみたら結局何もできないただの美容師免許保有者でしかなく、絶望しました。
アシスタントのうちにやめた奴には美容師としての人権はありません。
何百万も払って学校行って、何年もせっせと先輩のヘルプしたりタオルたたんだり、週末にはトイレも行けず水も飲めずシャンプーばっかしても辞めたらただの免許保有者です。
そんな状況にさらに元先輩、元上司から根性ないとかクズとかいろいろ言われたら精神的にもキマす。
終わりです。
美容師なんか辞めたるぞくらいの気持ちになってしまいます。
もったいないし可哀想。
そんなただの免許保有者に美容師の本当の楽しさとかやりがいとか知ってもらいたいです、僕は。
好きなお客さんが来てくれたら、その人の髪やれたらどんなに嬉しいか。
使ったタオルだって喜んで洗濯します。
タオルたたむのだってそのためだと思えば楽しいんですよ。
ひとつのサロンで頑張ることも素晴らしいことだと思います。
でもいくつかの場所を渡り歩いたとしても最終的に理想が手に入るのであればそれで良いと思います。
雑務さえ楽しめるようなところって必ずあります。
「美容師って楽しいよ」「美容師って稼げるよ」
とか口で言うのは簡単なんですけど、それを感じてもらうのはすごく難しいです。
いろんなものを知って、見て、触れて、そう感じれる場所に自ら向かっていくしかないんです。
だからどんどん移籍すればいいし、いいと思うのなら引き抜かれもすればいい。
経験を積めば本当の自分のあり方って見えてきます。
サロンだってそうやって何処かから”サロンのカラーと合う人”が流れ着いてくるはずだしそれで良くないか…と。
ダラダラ書いちゃいましたがそんな感じで美容師引き抜き問題については思ってます。
まあこうやって自分の考えとかを発信してると「雇ってください!」なんて言ってくれる学生さんとかアシスタントさんもいるのですが、僕は最初に書いたとおり人を雇わないのでゴメンナサイしてます。
もっと素敵な場所があるよ…って。
そんな感じだから引き抜き問題に巻き込まれるわけ無いと思ってたのですが、まさかの巻き込まれたので書いてみました。
読んでムカついたらごめんなさい。
もしムカつく人がいたとしたら「育ててやったのに裏切りやがって…」と辞めた人に対して思ったり言ったりする人なのでしょうか。
そういう方は、例え短い期間だったとしても会社のためサロンのために働いてくれてありがとうとか、雑用やシャンプーしてくれてありがとうとかは思わないんですかね。
お金払ってるからやって当たり前だと言われたらそれまでですが…。
少なくともそんな心が狭い人になりたくないなと僕は思います。