最近独立したいみたいな方からのコンサルの依頼がよく来ます。
ちょっと前は転職相談ばかりだったけど…
一昨日もいらっしゃいましたし、今日もいらっしゃいました。
独立願望強い方が美容師さんに多いのってやっぱ職業柄なんでしょうね。
僕は独立って良いと思うんですが、ただ右も左もわからなくていきなりお金の計算しだしたりサロンの運営をし始めることってリスクしかないと思っています。
実際自分がそんな感じだったし(笑)
いろいろ失敗して今はいろんな知識もつきましたが、綱渡りのように美容師が経営しはじめるのってなんか素人にいきなりハサミ持たせて髪切らせるようなもんというか…
なんかそんな感じだと思うんです。
少し前まではそれでも良かったのかもしれないですが、これからどんどん厳しくなると思います。
このご時世ですし。
今日なんか大阪の美容師さんがシェアってたこんな記事を読みました。
面白いのでぜひ。
一部引用します。
一般ユーザーさんはどうやって美容室を探しているんだろう??と、
自分達に置き換えて一度考えてみてください。
宿泊も飲食も、もちろん美容も比較サービスがスマホ一つで十分なんです。
スマホでの検索をどれだけ意識するか。
トレンドはどの様な変化なのか??
SNSとどう向き合うのか?
めまぐるしく変わる情報と状況に順応していかないといけません。
もはや根性論で戦うのは不可能になってきました。
いや、うちはずっとこれでやってきたから・・・。
では通用しない時代がやってきました。
美容業界が作ったスキをビジネスチャンスと捉える人達はいくらでもいます。
ライバルは美容師さんから、WEBスキルの高い美容師さんやサロン経営者になる時期も近いかもしれません。
苦手だからとか言ってられないですよ。
読んでくれたらわかると思いますが、価格ドットコムが美容師業界に参入していてめちゃくちゃ結果出してるという話です。
「ふ〜ん」で終わる話じゃないんですね、これ。
価格ドットコムが美容室やってるのは去年から知っていましたが、実は今結構いろんな業界から美容業界に参入してきています。
web会社、コンサル会社、広告代理店の会社などの他にもディーラーも美容室やってる時代です。
なぜオーバーストアと言われているこの業界にどんどん参入してきてて、しかも店舗拡大しまくってるのか?と疑問に思うと思います。
答えは簡単で、そこにチャンスがあるからです。
今爆増してる業務委託サロンっていう形態の多くはそういうパターンなんじゃないかと思います。
美容師さんがオーナーでやってるところもありますけど。
美容師が美容室を普通に出店する場合との違いをあげると【資本力があること】と【経営者である】という点です。
たったそれだけですが、すごく大きな違いです。
今後業務委託サロンがアベレージになる
そもそも業務委託サロンとはなんぞや?という人はググってみたらたくさん出てくると思います。
資本力のある経営者が参入してきてすごいスピードで展開しているということは今後どんどん業務委託サロンが平均的になってくるはずです。
今普通のサロンで働いてる人もどんどんそっちで働く流れになるはずです。
業務委託サロンの数が増えれば増えるほど世の中の人々が美容室で使うお金の額も減っていきます。
安売りとかじゃなくて、そもそも安い店が増えていけば当然消費者の感覚も「美容室は安いものだ」となっていきます。
安くても経営者は儲かるので、お互いWin-Win的な感じなのでしょう。
それを食い止めようなんていう人もたまにいますが、もはや法律が変わるか神になる以外に無理です。
儲かるならやりたいって人は世の中にたくさんいるわけで、そうやっていつの時代もマーケットはアップデートされていくわけです。
でもその流れもいつかは必ず終わりをむかえることになります。
必ず。
増えてるといえど無限というのはあり得ないので、いつかは飽和状態になります。
言い換えるとその頃には「なんかあんまり儲からなくなったぞ」という状況になるわけで、時代は次のフェーズにうつっていきます。
ですがその頃にはすでに「カットカラーに1万円払うとかアホくさ」みたいな常識が出来上がってしまっていると思います。
一般の人からしたらネットで見つけたサロンがどんな形態のサロンなのか、業務委託サロンなのかどうなのかって関係がないことです。
同じサービスなら安く施術が受けられるところを絶対に選択するわけで、それもまた止めようがないことです。
平均価格が下がるということは消費者は”安さに魅力”を感じにくくなると言うことです。
ということは現在【安い】と人気の業務委託サロンはあまり集客ができなくなるってことですよね。
ならば美容師はもっと安い店を出して勝負するしかありません。
もしくは、価格はそのままでなにかしらの付加価値をつけて足を運んでもらうしかありません。
そうなった時に困るのは誰なのか?というともちろん現場で働く美容師です。
【カットカラートリートメント4000円】みたいな価格でやり続けるしかなくなります。
“集客できてる”ことが大前提の価格設定なので、集客できなくなった時に恐ろしいことになります。
その時値段をあげようにも、特別な付加価値がなかったとしたら上げることは不可能ですし、本当に厳しい時代になるんじゃないかと思います。
今は黎明期をすぎ、まだぐんぐん右肩上がりの時だと思いますが物事には必ず終わりは来ますので遅かれ早かれ…という感じなんでしょう。
サロンが増えればサロンが消える
めちゃくちゃ当たり前の事なんですが、業務委託サロンが増えまくってるということは、どこかのサロンが潰れまくってるということです。
「うちの店人気すぎてやべーww」みたいなところは潰れるわけがないですし「うちは小さいけどたくさんの常連さんが支えてくれてる」みたいなところも潰れるわけがないので、「いや、なんかスタッフどんどんヤメてくし集客できないしいろいろヤバイぞ…」みたいなサロンって事です。
一方業務委託サロンの経営者は資本があるのでどんどん展開できますし、そうそう「ヤバイぞ」とはなりませんし、経営のノウハウがあるのでなんかあってもすぐ機転がきくのかもしれません。
資本力の違いと、経営者としての能力の違いはそう考えるととても大きいわけです。
そういう今の状況でこれから独立する時に経営がよくわからないのでとりあえず「ヤバイ」ってなってしまう美容室と同じやり方で独立するのはリスクがあまりにも高すぎます。
資本力がなかったらもっとリスクは高くなります。
借金してて行き詰まったらアウトです。
そもそも「ヤバイぞ」ってなってる原因はいろいろあるんですが、長くなっちゃうので2つだけ書いてみようと思います。
1つめ、客数と客単価
1つは[客単価を上げればいい][客数を増やせばいい]という考え方。
売上は客数×客単価で計算するものですが、少子高齢化&人口減少によりそもそもサロンに来る人の絶対数が減っていってます。
それとは逆にサロン数が増えているので、1サロンあたりの客数は減ってくと考えたほうが自然です。
そしてネット時代の今、ネットのスキルがないと集客にはとんでもないお金がかかるので、そのお金がないとなると客数を上げるのはとても難しい問題です。
そして客単価も上げづらくなります。
日本の美容室は基本的に[追加オーダー制]なので、LCCの飛行機みたいにあれこれメニューをプラスして単価をあげています。
今は消費者のお財布の紐がかたいので、料金プラスはすごく嫌がられます。
カットはしてもカラーは安いカラー専門店行くって人も増えるでしょうし、カラーは美容室でするけどカットは1000円カットでって人も増えてきます。
トリートメントはメルカリで買っちゃうかもしれません。
そうなると「美容室では1つの最安メニューしかしない」という状況になり単価は上げづらくなります。
なので僕は客数、客単価は基本的に考えておらず「時間単価」で考えています。
一時間辺りの売上です。
今は一時間5000円で設定していて、月50万円売り上げようと思ったら”100時間働けばいい”という計算。
1日5時間働けば20日で100時間です。
なのでメニューはすべて時間制になっていて、料金も1時間5000円、2時間10000円…と時間がふえたら上がっていくシステムでやっています。
新規の方に関しては追加するシステムではなく2時間パック料金にしています。
なんか満喫みたいですよね。
でも僕は自分の時間を売っている感覚なのでそうしています。
仮に客単価が1万円で高くても、3時間とか4時間とかかかってたらそれって結局安売りみたいなもんだと思うんです。
客単価3000円とかなら30分くらいでしょ…みたいな感覚です。
客単価や客数ばかり考えてると時間単価が見えてきません。
時間単価が低いということは生産性がわるいということです。
生産性が悪いってのはとてもダメなことです。
2つめ、経費かかりすぎ問題
2つめは経費。
利益は売上-経費です。
この経費がかかりすぎなサロンって「ヤバイぞ」となりやすくなります。
経費って普段の生活でいうと生活費みたいなものです。
売上ってのはお給料みたいなものです。
貯蓄したいのであれば、家賃安いとこ住んだり節約とかしますよね?
なんか美容室を独立する時にまとまった売上があげられる保証がないのに経費バンバンかけて運営はじめるのって、無職が六本木に住むようなものだと思うんですよね。
「これから稼ぎますよ」みたいな。
本来はいいお給料もらえるから六本木に住む選択肢ができるわけで、なんか逆なんじゃないかなー?と思うんですよね。
今ある程度売上があったとしても、これから上記のようにどんどんと客数が減っていき、客単価があがらなくなることを考えると経費が高いということは致命的です。
月のお店運営の経費が50万だとしたら、赤字にしないための最低ラインが50万。
それだと生活できないので、生活費20万と仮定すると毎月70万の売上ノルマがかせられます。
これは結構とんでもない数字だと思います。
業務委託サロンの価格がいつか平均価格になったとして…【カットカラートリートメント4000円】とかって値段でどのように70万もの売上をあげるのか?
死ぬほど働かなくちゃいけませんし、それだけの数の客数が必要になってきます。
しかも1日10時間、25日稼働したとしたら1時間あたりの経費は2000円(50万÷25日÷10時間=2000)になります。
カットカラートリートメントで2時間かかってたとしたら1時間あたりの利益はまさかの0円という。
しかも毎日10時間予約パンパンでの話。
そんな未来恐ろしいと思うの僕だけでしょうか。
でもきっとそのうちやってきます。
ではもし毎月の経費が【5万】ですんだらどうでしょうか。
生活費20万+5万なので月の売上ノルマは25万円です。
カラーカットトリートメント4000円だとそれでもかなりの数をやらなければなりませんが、「あなたにやってもらいたいからカラーカットトリートメント1万円払うわ♡」みたいな人がもし25人いればそれでノルマ達成です。
その方が時間も有効に使えるし、精神的に楽ですし、なにより失敗のリスクはほぼない状態といえないでしょうか。
夢物語とかあり得ない話ではありません。
僕の美容室UptoYouの1ヶ月の経費は少し変動はありますが【5万くらい】です。
1日6時間で月間2週間くらい働いてるので、1時間あたりの経費は500円ほど。
別にブログがあるからとか1ミリも関係なく、誰でも本当は【経費10万以下】はできます。
100%できます。
別にストリートカットすればいいとかいう話ではないですよ。
そしてついでにいうと独立は【多く見積もって200万】あれば借金せずに独立できます。
逆に言うと借金してしまうと【経費5万】は返済があるので絶対に無理になります。
「どうやってその金額に?」「どうやってその金額で独立を?」というのはコンサルでお話してるので、ここでは書けませんがこれはネタでもなくマジ話です。
ながくなっちゃいましたが、この記事で書きたかった事は業務委託サロンが増えたら全体の価格が下がるということとそうなった時に客数と客単価も減っていくということです。
そういう状況にすでになりつつあるので、早くなにか手を打たねばリスクは常につきまといます。
【時間単価】という見方と【売上ノルマ】を下げる方法をちゃんと考えて実行していくとリスクは減って行きます。
何かの参考になってくれたら嬉しいです。
リスクと一緒に「美容師しんどい」って人も減ったらいいのになー。