僕はサービス業に従事して累計12年。
美容師やって10年。
飲食とかカラオケ屋さんもやってました。
サービス業、接客業というものは”お客様”ありき。
まあなんでもそうなのかもしれない。
接客業とかサービス業ってのはめちゃくちゃ顔が見えるものです。
だからこそサービス提供側、僕で言うところの美容師は悩むときがあります。
1つは【再来】というもの。
どうしたらこの人はまた来てくれるだろう?どうしたらあの人はまた来ようと思ってくれるだろう?
その思いの強さたるや初恋のあの人に向ける気持ちくらい強かったりします。
「今日のデートはあの場所で良かったのだろうか?」
「ランチはあの店で良かったのだろうか?」
「とりあえずネイル褒めといたけど、実は気に入ってなかったのかもしれない」
悩んでも、次に繋がらない人はいます。
その時の自分が悪かったのか、はたまた他にいい人を見つけたのか、真相はわからないけど、来なかったという事実を美容師は受け止めなければなりません。
そんな状態で「あなたにやってもらいたくてきたの」という人が来てくれたら、そりゃあ好きになります。
男とか女とか、子供とかおばあちゃんとか関係なくて、そう言われただけで好きになります。
美容師としての自分を認めてもらえたようで。
そういう方が増えれば増えるほど忙しくなりますが、幸せも増えます。
「お客様のため」
そう言って新しい技術も学ぶし、自分磨きもします。
それをしたいと思います。
なのに。
なのに、その関係とかその自分の気持ちを殺してお客さんに挨拶もせずに無言で去って行く人もたくさんいます。
なぜなのか?
大人の事情、会社の事情いろいろあると思います。
筋を通すとか、なんとか。
まあいろいろあるのだと思います。
美容師だって人間です。
飽きた。辛い。変えたい。
いろいろ思って環境を変えたくなります。
それは何にもおかしなことはなく、正常なことです。
転職という言葉があるくらいだから。
しかも美容師はウデがあるので、どこだってやっていけるんです。
だから嫌になったら違う場所に移ることは変なことじゃないんです。
だけど、大人の事情があって、自分の新しい活動場所を伝えることができない。
結果、初恋の相手のように思ってたお客様をブッチしてしまう。
それは本当に正しいことなのか?
会社がお金を払って、看板作って、先輩がたくさん結果残して、そのおかげで出会えたお客さんなのかもしれない。
最初のきっかけは先輩や会社が作ってくれたものなのかもしれない。
だけど”二度目”にまた選んでもらえたのは、その時接した美容師の人間性やスキルによるものだし、それらはたくさん悩んできたから得られたものなんだと僕は思います。
つまりもうその時点で会社とか看板とか関係なくて、人対人になってる。
それがわかってるから「お客様のため」って頑張りたくなる。
もっといいものを提供しようという気持ちになる。
でもやめるときにブッチする。
したくなくても、ブッチする。
当然お客様は困る。
そしてネットで【渋谷 美容室】とか検索する。
…。
「お客様のため」という言葉は一体誰のためのの言葉なのだろうか?
その方向性は本当にあってるのか?
もしかしたら、お客さんが望んでることは「信頼できて安心できる人にやってもらいたい」という、ただそれだけなんじゃないのでしょうか?
もし自分がお客さんだったら…。
もし自分が好きな人に切ってもらうためにその店に足を運んでるとしたら…。
だとしたらあなたは美容師にたいして何を願いますか?
筋の通し方を間違えると、結局自分がやってきたことも無駄になるような気がします。
辞めた経験があり、辞めると言ってからのプレッシャーがあったのを経験してるからなんかわかります。
正直辛いもんです。
好きな人に自分の気持ちを話せないんですから。
僕も「一ヶ月前まで言うな」と言われていました。
海外に行くのにです。
お客さん持ってくとかじゃないのに。
一ヶ月以内にくる人ばかりじゃない美容室で、一ヶ月前まで言うなは「黙って立ち去れ」と同じ意味です。
辛かったです。正直。
会社の経費で集客したのもわかります。
育ててもらったのもわかります。
その売上をとられたくないのもわかります。
ただ、それをスタッフに強制するのであれば「お客様のためにどーのこーの」は言っちゃいけないし言わせちゃいけないような気がします。
最後の最後まで責任とれないのなら「お客様のため」という言葉は使うべきじゃないと思います。
本心でそう思ってたとしても、実行できないならウソになる。
ウソかどうかはこちらの問題ではなく、あちらが”どう感じるか”です。
変化の中で生まれる矛盾とモヤっとした葛藤をどうにかできないものか?と僕はずっと考えてました。
最近になりやっと答えが見つかったので、その【美容師の終活】にも焦点を当てた新事業を立ち上げてるところです。
本当に「お客様のため」を思うからこそ。
本当に「お客様のため」を思う美容師がたくさんいるからこそ。
答えはめちゃくちゃシンプルです。
お金とか嘘で塗り固められた情報とかに惑わされすぎると本質はだんだん見えなくなります。
純粋に自分がお客様に対してどう思うのか?
自分が死ぬまでその場所で頑張ればいいという話ではなく、単純にその想いを突き詰めて別の形にすることがすごく大切なことのような気がします。
夜行バスで寝れないから書いてみました。
明日東京にかえります。
ねよ。