2月に髪を切ってもらった美容師さんと話してて思ったこと。
“デビュー”について…。
特定の誰かとかサロンを批判したいとかじゃなく、全体的な風習に対して意味わからんと思うので書こうと思いますのであしからず。
美容師の可能性を潰す美容業界の不思議
美容師業界という広域で話をすすめますが、美容業界はなぜ人を大切にしないのでしょう。
- 手荒れでやめてく人
- 子育てでやめてく人
- 体力がなくやめてく人
- 時間がほしくてやめてく人
- キャリアアップさせてもらえずやめてく人
そういう方たちにめちゃくちゃ優しくない。
手荒れも根性
気力体力も根性
お金すくないのは教えてやってるから仕方ない
技術ができないんだから給料はらいません
根性で頑張れ
気合でなんとかしろ
そういう世界です。
一時期僕も病んで辞めたことがあるんだけど、それもかれこれ8年くらい前の話。
その頃から業界の体質みたいなのはほとんど何にも変わってない。
変わった!優しくなった!とか言う人いるけど、むしろ今の方が安売りしまくり広告費かけまくりという意味で厳しくね…っていう。
辞めちゃってる人のうち、美容師が嫌でたまらなくなった人って一体どれくらいいるのかな?
ホントはものすごく優秀な人材かもしれないわけですよね。
ホントは美容師大好きなのかもしれないですよね。
ものすごく業界にとって大切な人なのかもしれないし、例えばすごい功績を残すかもしれないし、何かすごい結果を出すかもしれません。
持病で肩がおかしくなった僕の同期は1年で美容師が続けられなくなった。
「シャンプーができない」
ただそれだけの理由で美容師の道を会社に閉ざされた。
もうね、アホかと思ってました。当時は。
シャンプーなんか俺が二倍やってやるよくらい思ってました。
でもどうすることも出来なかった。
その子は真面目で器用で努力もすれば人当たりもよく、僕とは全くの正反対。
一年目のときはその優秀さにムカついてたりもしたけど、その子が病気でやれなくなった頃から関係が変わった。
「淳が正直羨ましい」ってタオルたたみながら言われて、ハッとなった。
なんて不公平なんだ、と。
おかしいだろ、と。
思えばその経験があって美容業界に疑問を持つようになったのかもしれない。
その後僕もサロンを辞めた。
その頃と、今とあんまり変わったような気がしない。
なぜ未だに手荒れでやめてく人があとをたたないのか。
なぜアシスタントでやめてく人があとをたたないのか。
固定電話が携帯になり、携帯にカメラが付き、カメラ付き携帯がパカパカするようになり、そのうち画面がぬるぬる動くようになり、今度はそのスマホがパカパカするかもしれないという2019年に。
私達美容師は一体何をしているのでしょうか。
20年前のカリスマ美容師ブームの幻想に取り憑かれたまま、そこでストップしているのでしょうか。
ホントにみんなこのままでいいの?ってよく思います。
実力主義みたいなこと言う人もいるけど、実力を出せない環境もたくさんあるわけです。
アンフェア。
女性、ママ、肌が弱い人、体力がない人、アレルギー体質の人、体が弱い人
そういう人に対しても「環境に合わせろ、嫌ならやめろ」って言うのはやはりまずいと思う。
どんどん優秀な人材が流出し、衰退の一途をこのままで爆速で辿るのか。
それがホントにみんなが望む未来なのか。
はなはだ疑問であります。
スタイリストデビューという謎の風習はもうなくていいのでは
2月に髪を切ってくれた美容師さんはアシスタントだった。
カットモデル的な立ち位置で切ってもらったのだが、僕は満足した。
その後も「髪かっこいいね」とか褒められたし、はたから見ても全然OKってことなんだろう。
技術も接客も十分。
でもその美容師は”デビューしていない”という理由だけで「切れない」というレッテルを貼られてた。
デビューって何なのかと。
技術チェックは当然必要だと思う。
しかしそこに明確な決まりはないだろうし、3年4年と無駄に拘束しておく事に特に意味はないと思う。
できる人、センスがある人はさっさとスタイリストにしてしまえばいい。
そう思います。
実力主義でいいじゃんって。
そもそも、アシスタントという仕事って今はそんなに必要なの?って思います。
1人の売れっ子美容師が1日に何人も何人も担当し、そのサポートをするアシスタントは確かに昔は必要なポジションだったと思う。
人気美容師は1人ではやってけない。
シャンプーやドライなどは誰かにやってもらう必要がある。
そういうもんだったと思う。
なので”アシスタントを数年することは必須”みたいなとこもあったはず。
さっさとスタイリストにしたら誰かシャンプーするねん…と、こういう訳です。
日中は業務で忙しく、練習は朝や夜になるのでそういう意味でも時間はかかったのだと思う。
なので簡単に言えばその方が都合が良かったみたいな所もあるかと思う。
それが現代においてはどうだろう。
週末など局地的に人手がほしい!みたいなのはあったとしても、それほど何人もアシスタントがいる必要性って感じない気がする。
もちろんサロンにもよると思うが、1人でマンツーマンでやってる人も多くなってきたと思うし、実際お客さんもマンツーマンを望んでるという。
一人が一人を担当するという本来あるべき美容師の形に戻りつつあるのではないか。
今は集客がうまくできてなかったりオーバーストア問題もあり、さらに拍車がかかると思う。
なので、アシスタントをやらせる必要性ってものがどんどん薄くなっていくのは容易に想像できる。
それに対してどういう対応をすべきなのか?
自分なりに考えた結果、今社内で実践していることにたどり着きました。
ライフスタイル優先でワークバランスを美容師に合わせる
“美容師がサロンに合わせる”
ではなく
“会社が美容師に合わせる”
です。
これが自分の行き着いた答え。
もちろんサロンに所属してもらう以上こちらに合わせてもらう部分は絶対的にある。
しかし、そこで無理そうな部分に関しては最初から除外し、仕事をカスタマイズしていく。
同時に教育もやることとやらないことを決め、無理なくレベルアップができるように設定をする。
あとはやってみて随時方向修正。
やってみたけど無理そうならやめるし、出来そうなことがあれば追加をするし。
双方にかなりの柔軟性が必要とされるので、そういうのが厳しいって人はうちの会社は合わないと思う。
決められたことだけやってたいようなタイプだと逆にしんどいのかもなんて思うので、そういう人は雇わない事にしてる。
まず、その人がアシスタントであれ何であれ、経歴がどうであれ、それはこちらとしては大した問題ではない。
重要なのは「何ができて、何ができないのか」「何がしたくて、何がしたくないのか」だと思う。
それをひとつひとつ擦り合わせていく。
手荒れでシャンプーができないなら手荒れしない程度までシャンプーの頻度を下げる働き方にして、その分マツエクを覚えてもらうとか。
子育てで遅い時間に働けないなら、その分WEBの仕事や事務を覚えてもらって家でやってもらうとか。
実際にそうやってるママ美容師のスタッフがいるが、今のところなんとかなってる。
僕はまずは【個性】を見るべきだと思ってる。
その人が何をしてきて、何をしたいのか。
何が好きで、何が嫌いなのか。
十人十色というように人間は様々。
適材適所というように、人それぞれ合うポジションがあるはず。
そこを探してく。
例えば、自分達が超ハイブランドを作ることを目指していたり、すでにそういう環境だったら無理だと思う。
「合わせろ」にするしかない。
でもほとんどの美容室は小さな店だし、個人事業主だったりする。
別にこだわらなくてもいいポイントって実は結構あるんじゃないかと思う。
最終的に大切なのはお客さんがどう思うかでしかない。
お客さんが満足して喜んでもらえるものを作り提供できるのであれば正直なんでもいい。
そう思います。
雇う側もスタッフがさっさと生産者になってくれたほうが嬉しいし、スタッフもそのほうがやりがいを感じますよね。
カットができる、できないで美容師を判断するなんてあまりにもズレてる。
髪切れなくたって美容師じゃん。
なんのための免許だよ。
スタイリストデビューという風潮はカリスマ時代の産物で、そこから20年もたった2019年。
今一度考えるべき点じゃないかなと思ってます。
プライドばかり優先して、優秀な人をこれ以上流出させていったらこの業界の未来は暗いだろうなぁと。
そんなの嫌ですよね。
僕は2月に切ってもらった美容師さんに普通にお金払ってまた切ってもらいたいですが。
髪が伸びました。
見てるかな。