こんな考えになる事は20代のときはありえないと思っていたけど、最近はなんかそんなに【何者かになる】ということについて頑張らなくてもいいかと思うようになってきた。
昔はゴマンといる美容師の中でどうしたら名が売れるだろうとか、テレビ出たいとか、雑誌乗りたいとかミーハーに物事を考えていたような気がする。
そう考えていたからそういう行動に移っていったのはごく自然なことで、結果的にたしかに【〇〇な人】的にはなることができたと思う。
世界を旅する美容師と人は未だにいうけど、僕からしたらとうの昔の話で、もう一回やろうとは思えなくて結局働いたりいろんな事をやろうとしてみた。
流木に感化されれば拾ってきて道具買ってきて、技術がなさすぎて断念。
絵を描こうとすれば………以下同文。
30になったときからずっと【新しい自分】を模索してきた。新しい【何者か】になりたかった。けど、結論無理だった。
絶対的にやりたいコレッていうものがなく、絶対的にほしい肩書もなく、絶対的になりたい自分像もなくて。
それこそ自分探しでもしていればなりたい自分は見つかるのかもしれないけど、たぶんもう無理だなぁと最近は思うようになった。
というより気がついた。
【何者か】にはすでになっているのだと。
たしかに何らかの肩書は現在もあるし、別にそれに不満を持っているわけではない。
だけど、新しい事はとにかく生きてるうちはいろいろやっていきたい。
そう思ってた。
それがすでに1つの答えであるということにずっと気がついていなかった。
新しい事をするのにゼロスタートである必要もないし、一人ですべてやらなければならないわけでもない。
もし新しい肩書がほしいのであれば作ればいいし、それもまた手伝ってくれる人がいるならそれでやればいい。
なにか1つに特化した人物になるということは20代のときは目標だった。
ただ美容師を名乗っても1/500,000であるから旅して髪を切ったわけだけど、そのような事をもう一度やらなくても、なんかもういろいろと特化したものがある。
だから別に無理してゼロから作らなくても、あるもので作ればいいや…とそのように思うようになった。
仕事も人生も、楽しくするためには掛け算のようなものが大事だと思っていて、例えば赤の絵の具と青の絵の具を持っている人はかけ合わせれば紫という世界を表現できる。
もちろん1つも持っていなければただの白。
なので僕はまず赤という絵の具が欲しかった。
そして青を手に入れようとした。
黄色も、緑も。
気がつけばもうそこには多種多様な絵の具が転がっているわけで、あとは好きに混ぜて描いてみれば自分という世界は表現することができる。
つまり行き着くところは【自分】なのだろうと思った。
赤くなることを目指すのではなく、自分らしく楽しむということ。
それが最終地点で、赤い絵の具を手にするということは過程でありゴールではない。
いろんな色を混ぜ合わせたらカラフルになるのかもしれないし、真っ黒になるのかもしれない。
きっとなんでもいい。
【何者か】には一旦なる必要はあると思う。
絵の具を手にできない人には見られない世界があるし、誰もがなんかしら努力をしてあるところまでは行かねばならないのだと思う。
赤で終わる人もいるかもしれない。
青で終わる人もいるかもしれない。
しかしそれにしては人生は長すぎる。
いろんな色を試してみて混ぜてみたほうが楽しいと僕は思う。
そうなれるかなれないかというより、なるかならないか自ら選択をするかどうかという話だと思う。
その先は混ぜてしまってオリジナルな世界になるのだから正解はない。
つまり【何者か】という名前付けができなくなる。
僕はすでに何者でもなかった。
赤でも青でもなく、たぶん誰も知らない色なのだろう。
だから何者かになろうということはハナから無理だったのだ。
というより自分には名前がある。
職業よりも肩書よりもアイデンティティは名前であって、そう考えると最初から何でも良かったのかもしれない。
しかしみんなと同じとか普通とかが嫌で、何者かになりたいと思っていた。
ただその普通からの脱却というだけだったのかもしれない。
オリジナルというものは求めた人にしか作れないと思う。
そういう意味ではまだ自分自身オリジナルは完成されていないと思う。
だから何かを模索しているし、新しいものを作ろうと常にしている。
きっと死ぬまで完成できないのかも。
わからないけどいつか満足するときが来るのだろうか。
これから自分のなんかいろいろ表現して行く場としてブログを復活させることにして、今日はちょこちょこブログ改修していたのだけど、マジで2年放置していたらしい。
でもそれを作りながらタイトルとかに肩書とかじゃなくてめっちゃ自分の名前を入れていることに気がついて、なんか俺変わったな…などと思ったりして。
昔は肩書勝負、今は名前勝負。
知らん人からしたら「お前誰?」なのだけど、全く問題ない。
人に見せる人生ではなく自分で納得できる人生を歩もうとしているのだと思う。
不思議なほどの心境の変化。
その後あっついし暇だなーと思ってカメラ持ってババイク乗って行ったこともない道走って変な山の方に来たら富士山がとてもきれいに見える穴場スポットにたどり着いた。
誰もいなくて。
こんなとこあったんだーなどと思いながらバイクを眺めて、ああ、黒いなと。
真っ黒だなと。
完成されちまっている気がした。なんか。
全部真っ黒なんてバイクあんまりないからオリジナル感あふれててかなり気に入ってる。
いつかこのバイクのようにかっこいいジジイになりたいなと思う。
心から。